デイリー・アップデート

2019年10月8日 (火)

[バングラデシュ] わが国の外務省が設定するバングラデシュに関する危険情報は、2015年10月に北部ロングプールで発生した邦人殺害事件、2016年7月にダッカで発生したテロ事件(邦人7人を含む外国人が殺害された)以降、全土で『レベル2(=不要不急の渡航はやめてください)』の状態が継続されていたが、今般、ダッカとチッタゴン丘陵地帯を除く地域については『レベル1(=十分注意してください)』に引き下げられた。治安当局による取締り強化もあり、2016年7月のダッカでのテロ事件以降、外国人を標的としたテロ事件が発生していないこと、また2018年12月末の総選挙が大規模な混乱もなく平穏裏に行われたことなどが考慮されたもの。

[シリア] トランプ米大統領は、シリア北部に駐留している米兵の撤退を開始し、トルコによるシリア北部への攻撃が開始されると発表した。トランプ大統領はトルコのエルドアン大統領との電話会談後に独断で決定したもよう。現在シリア北部は、対IS戦で米国と共闘したクルド人を主体とする部隊(YPG)が支配しているが、トルコはYPGをトルコ国内のクルド系テロ組織(PKK)と繋がる組織であるとして、1年以上前からシリア北部への軍事侵攻を示唆してきた。

[米国] 10月7日、米軍はシリア北部からの撤収を開始。トルコがシリア北部の国境地帯に「安全地帯」を設置すべく、軍事行動に出ると見られており、それに対して米軍は支援も関与も行わないとホワイトハウスは声明を発表。トルコ軍の作戦地域から米軍は撤収するが、シリアからの完全撤退を意味しないとも説明している。米軍とともにISと戦ったクルド人勢力を見捨てることになるとして、議会共和党からは早くも米軍撤退に対する反発の声が上がっている。

[デジタル経済] デジタル経済を取り巻く税制・制度に関する議論が加速しつつある。OECDは10月9日に国際的なデジタル課税の枠組み案を公表し、G20財務相・中銀総裁会合に報告する予定になっている。日本でも同4日に『デジタル市場競争会議』が発足、M&Aや独占禁止法、個人データの管理などが議論される。一方で、米国では大手IT企業に対する独占禁止法違反の調査が進められている。多くの企業が関わる成長分野なだけに、今後の動向が注目される。

[ブラジル] 8月の鉱工業生産は前月比+0.8%と急伸し、過去3か月間の下落分をほぼ相殺。2019年8月までの8か月のうち5か月は鉱工業生産が下落していた。1月から8月の累計は前年比▲1.7%。鉱工業生産の実績数値は不況を明示している。主な要因は、ダム事故による鉱山閉鎖で鉄鉱石生産が深刻な打撃を受け鉱業が急落したこと、年前半の石油生産量が予測より下振れしたこと、アルゼンチンの不況で同国向け自動車を始め化学品や自動車部品といった製品の輸出が打撃を受けたこと、及び、国内経済が低迷したことなどである。

[ポーランド] 10月13日に総選挙が行われる予定で、最新の世論調査によれば反欧州連合(EU)の保守与党「法と正義」が優勢で勝利を収める見通しである。一方、与党が強い農村部とは対照的に、大都市部では権威主義的な現政権への批判が高まっており、野党勢力が躍進する可能性もある。

[フランス] 10月3日、パリ警視庁に勤務する男がナイフで同僚4人を殺害し、2人を負傷させた。同日、捜査当局は、原因は職場のトラブルであり、テロ事件ではないと発表した。しかし、4日には捜査当局が、捜査の主体を検察のテロ対策部門に移している。

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