デイリー・アップデート

2019年10月10日 (木)

[日本] 日本社会の急速な高齢化で年金受給者を支える勤労者の比率は(大勢で一人を支える)胴上げ型から(数人で一人を支える)騎馬戦型に移り、まもなく(一人が一人を支える)肩車型になるという説が喧伝されてきているが、実際には高齢者や女性の就労が増えており、当面は騎馬戦型が継続するとの見方がある。現在、年金基金160兆円の運用益は66兆円に達するという。ただし年金財源のほとんどは現役世代が払う社会保険料と国庫負担で、当面基金は使わない。また、あまり知られていないようだが、『ふるさと納税』に企業版もあり、これのさらなる普及・利用が期待される。

[お休みのお知らせ] 明日、2019年10月11日のデイリーアップデートはお休み致します。

[サウジアラビア] 最近のGDP数値によれば経済成長率が第1四半期の前年同期比1.7%増から第2四半期には同0.5%増まで減速している。更に、前期比ベースでは2四半期連続で縮小しており、これはすなわちサウジアラビアが公式に不況下にあることを意味している。

[世界] 10月9日、世界経済フォーラム(WEF)は、2019年版の「世界競争力報告」を発表した。シンガポールが1位となり、昨年1位だった米国は2位に後退した。日本は前年の5位から6位へと後退。日本は長寿を背景に「健康」は100点であった一方、「批判的な思考能力を高める教育」、「労働市場の柔軟性」、「女性が労働に参加する数の割合」、「職場環境におけるダイバーシティ」等が低い評価となっている。WEFは、人的資源や制度改革などに投資した国が生産性を向上させたと指摘している。

[日本] 内閣府「機械受注統計」によると、設備投資に先行する民間(除く船舶・電力)の受注額は8月に8,753億円(前月比▲2.4%)となり、2か月連続で減少した。また、日本工作機械工業会「工作機械受注統計」によると、9月の受注額は989億円(前年同月比▲35.5%)と、2か月連続で節目の1千億円を下回った。日銀短観によると、国内の設備投資計画には底堅さがみられる一方、受注のうち外需では足もとで弱さが目立っており、先行き懸念は払拭(ふっしょく)できない。

[EU] 10月9日、EU加盟各国による次世代通信規格「5G」に関するリスクアセスメントに基づき、欧州委員会と欧州ネットワーク・情報セキュリティ機関(ENISA)がまとめた『5Gに関するリスクアセスメント報告書』が公表された。報告書は、5Gに関してファーウェイ社製設備のEU域内への導入中止は求めていないが、「非EU国家」や「国が支援する企業」への警戒を勧告している。

[米/中] 米国商務省は中国の28社を Entity List に加えたが、新たにList入りした中国側ハイテク企業(一部)のコメントは以下。①海康威視(HIKVISION):短期的には影響あるが、長期的影響は限定的 ②科大訊飛 (iFLYTEK):自社が保有するAI中核技術は全て自主開発であり、経営上大きな影響なし ③大華股份(Dahua):代替案を策定済み、ごく一部代替不能なケースも別の解決案を策定可能 ④曠視科技(MEGVII):強硬に反対を表明、対応案は策定済み ⑤依図科技(YITU):強硬に反対を表明、米国には公平・公正な対処を希望する。

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