デイリー・アップデート

2019年10月30日 (水)

[チリ] 10月23日に中銀は、0.25%ポイントの利下げを行い政策金利を1.75%にする事を決定。また、中銀は、後に撤回された地下鉄運賃の値上げ提案に起因する社会不安で短期的な経済活動が抑制される可能性を指摘した。インフレ率は+3%の目標を下回り続け、9月には+2.3%から+2.1%まで実際に減速しており、追加利下げ余地を生んでいる。

[ウクライナ] ウクライナ東部で続く紛争に関し、同国政府軍と親ロシア派武装勢力は10月29日、兵力の引き離し作業を開始したことを確認した。10月1日に合意して以降、砲撃と銃撃がやまずに実現が遅れていたが、ようやく兵力の引き離しが始まった。和平を討議するウクライナと独仏露の4カ国首脳会議の早期開催に向け、調整が進む可能性が出てきた。

[中国] 10月28日、共産党中央と国務院は、「新時代の公民道徳作り実施綱領」を公布し、中国全土で実際に即した徹底的な実行を要求。党は2001年に綱領を公布済みで、習総書記も第18回党大会以降、公民道徳作りに成果をあげてきたが、不良思想・文化による侵食、ネットの有害情報の影響など道徳領域では依然として多くの問題があることが公布の背景としている。社会の公徳、職業の道徳、家庭の美徳、個人の品徳作りを注力点とし、学校、家庭、社会などでの教育と実践の方針を示している。

[レバノン] 2週間続いている民衆による大規模デモに対して、ハリーリ首相は改革案を発表していたが、国民のデモは収まらず、10月29日に同首相は大統領に辞表を提出した。しかし、国民は内閣全体の辞職と宗派ごとに細かく分けられた現行政治システムの終焉を求めており、抗議運動がやむ気配はない。レバノンの公的債務はGDPの150%にまで達しており、レバノン経済の崩壊を懸念する声もある。

[アジア太平洋] 10月22日にIMFが発表した「アジア太平洋地域経済見通し」によると、同地域の経済成長は世界最速の伸びを示しており、世界全体の経済成長の3分の2超を占めるものの、短期的な見通しは2019年4月の「世界経済見通し(WEO)」から顕著に悪化しており、下振れリスクが高まっていると指摘。見通しは下方修正され、2019年+5%(4月時点より0.4%ポイント下方修正)、2020年+5.1%(同0.3%ポイント下方修正)。特に製造業、投資、貿易が減速しており、また、貿易では、輸入の減少が目立っている。

[日本] 経済産業省「商業動態統計」によると、9月の小売販売額は前年同月比+9.1%、前月比+7.1%と増加した。消費税率引き上げ前の駆け込み需要によって、販売額が増加した。基調判断は「増加している小売業販売」となった。ただし、今後について、「消費者マインドの動向や自然災害の影響などに留意しつつ、見極める必要がある」と慎重な見方がなされている。

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