デイリー・アップデート

2019年10月16日 (水)

[マレーシア] 10月11日、リム・グアンエン財務相が2020年度予算案を発表。歳入の減少により財政赤字の対GDP比は3.2%と政府目標の3%を上回った。2019年の実質GDP成長率は+4.7%、2020年は+4.8%と予想。2018年6月に廃止したGSTについて10月3日にマハティール首相が「国民が望むなら再導入を検討する」と述べたが、8日にGSTを再導入する理由はないと発言。今般、リム財務相もGST再導入の計画はないと説明した。

[トルコ] シリア北部クルド地域に軍事侵攻を開始したトルコに対し、10月14日、米国はトルコに対する制裁措置を発表。内容は、トルコからの鉄鋼輸入に対する関税の引き上げ(25%→50%)、貿易交渉の停止、内相、国防相、エネルギー相に対する資産凍結などで実際の影響はそれほど大きくない。ただ、米議会によるさらに強力な制裁発動に対する懸念から、通貨リラはジリジリと下げており、海外からの投資(FDI)への悪影響も考えられる。

[世界経済] IMFは15日、世界経済見通し(WEO)を公表し、2019年の世界経済成長率予測を7月時点の++3.2%からさらに引き下げ+3.0%とした。引き下げは5回連続。世界経済が縮小した2009年以降で最も低い伸びとなる。IMFは世界全体の90%の国・地域で経済が減速していると指摘した。世界の貿易量に関しては、2019年+1.1%と2018年の+3.6%から大幅に減少し貿易量の伸びが経済成長の伸びを下回るというスロートレードとなる見通し。

[日本] 日本銀行は「地域経済報告」(さくらレポート)を公表した。景気の総括判断では、すべての地域が「拡大」または「回復」であり、今回、北海道が上方修正された。また、主な企業の声によると、国土強靭化計画によって、公共事業が景気を後押ししている姿が明らかになった。また、設備投資については5G関連が動き始めている様子もうかがえる。また、人手不足から福利厚生を拡充したり、業績がさえない中での賃上げに踏み切る企業もみられている。

[ブラジル] テメルとボルソナーロの両政権による大幅な利下げや改革が国債の利回りを引下げ(2017年以降10年債の利回りは17%ポイント下落)、結果として金融的に緩和された状況となっており、融資拡大が加速する条件が整っている。しかし、2014年~2016年の不況後の銀行融資の回復はかなり弱く、拡大ペースは2019年5月の前年比+5.7%が天井で、その後+5%で横ばいとなっている。

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