デイリー・アップデート

2019年10月28日 (月)

[タイ] 10月25日、米国は、タイに付与している一般特恵関税(GSP)を一部停止すると発表。電子部品、セラミック製品、農産物、水産物等の573品目(13億ドル相当額、輸入総額44億ドルの3分の1に該当)に対する特恵関税を2020年4月25日から停止する。タイが労働者の権利を十分に保護していないことが理由とされているが、貿易赤字の縮小が目的との見方もある。

[米国] 10月25日、米通商代表部は特恵関税制度(GSP)に関わる諸決定を発表。タイについては、労働者の権利保護が国際的水準に達していないことを挙げ、13億ドル相当のタイからの輸入品は半年後から関税優遇の対象外となる。また、ウクライナからの輸入品については一部適用対象外となっていた品目を改めてGSP対象に指定することも発表された。現在、米下院で調査が進行中のウクライナ疑惑に絡み、USTRは政権の意向を忖度し、ウクライナのGSP復帰を遅らせたのではないかとの報道がある。

[中国/エクアドル] 9月、中国はイエローヘッド病とホワイトスポット病の発生を理由にエクアドルからのエビの輸入の一部を禁止した。エクアドルにとってエビは原油に次ぐ主要輸出品であり、世界シェアは第5位(2017年)となっている。エクアドルの全世界へのエビの輸出のうち中国向けは61%(2018年)と大きく2013年の30%から飛躍的に増加している。従い、今回の中国による措置はエクアドルにとって大きな痛手となる。

[ドイツ] Ifo経済研究所が発表した10月のドイツ企業景況感指数は94.6と前月から横ばいとなった。足元の状況を表す現状指数はわずかに悪化したものの、先行きの見通しはやや改善した結果、「ドイツ経済は安定している」という評価になった。この背景には、製造業や卸売業で先行きの見方が改善しつつあることがある。2019年第3四半期のGDP成長率はマイナス成長という見方が増えつつある中で、第4四半期には底打ちする可能性が出てきた。

[アルゼンチン] 10月24日、外貨準備高は8億8,300万ドル減少し452億ドルとなった。中銀の6億ドル以上に上る激しいドル売り介入にも関わらず通貨は1ドル当たり63ペソまで下落した。また、公式な為替レートと、個人や企業が規制を迂回して使用している並行レートの差は約33%まで拡大した。

[ロシア] 中銀は政策金利の1週間物レポ金利を7.0%から6.5%に引き下げた。インフレ率が目標である4%を大きく下回る兆候を受けて、利下げペースを加速させ、追加緩和の可能性も示唆した。

[中国] 中国共産党第19期中央委員会第4回全体会議(四中全会)が、10月28日~31日の4日間、北京で開催される。中国の官製メディアは、本会議の主要議題を①政治局から中央委員会に対する報告、及び②「中国の特色ある社会主義制度の堅持と整備、国家ガバナンスのシステムと能力の現代化の推進における若干の重大な問題に関する中共中央の決定」の討議・採択と報じている。後者は、2013年の第18期三中全会で決議された「改革の全面的深化」を進める上での全般的目標とされているもの。

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