デイリー・アップデート

2021年1月7日 (木)

[世界経済] 1月5日、世界銀行は、2021年の世界経済成長率の見通しを基本シナリオで+4.0%とし、2020年6月時点の予測から0.2pt下方修正した。新型コロナウイルスのワクチン普及状況が経済回復のカギになると指摘。同シナリオでは2021年末までに先進国、中国、インド、ロシアの国民の半数強がワクチン接種している状態を想定。接種率が5%程度にとどまると成長率は+1.6%に下振れし、信用収縮などが加わる深刻な状況では▲0.7%まで落ちると想定。2020年の世界経済成長率は▲4.3%となる見通しで、2020年6月時点から0.9pt上方修正された。

[日本] 内閣府「消費動向調査」によると、消費者マインドを表す12月の消費者態度指数は31.8となり、前月から1.9pt低下した。4月に過去最低の21.6まで低下してから、その後おおむね回復傾向にあったものの、12月に再び悪化した。感染が再び拡大傾向にあり、暮らし向きや雇用環境などで懸念が特に強まったようだ。また、1月7日に首都圏の1都3県を対象に緊急事態宣言が発出されることで、一段と消費者マインドが悪化し、個人消費などの重石になるとみられる。

[カタール] スタンダードチャータード銀行は、カタールの2021年の成長予測を+2.1%から+3.0%に上方修正した。2017年6月から続いていたサウジやUAEなどによるカタール断交問題が解決されたことにより、UAEなど周辺諸国との間での貿易や観光、物流の流れが戻り、消費者・投資家マインドが改善し地政学的リスクが低減することで、カタール経済にプラス効果があると予測している。

[米国] 1月5日に投票が行われた南部ジョージア州選出上院議員2議席をめぐる決選投票で民主党候補のウォーノック、オソフ両候補が共和党現職のロフラー、パーデュー両候補に勝利して議席を奪還することに成功。民主党がジョージア州で2議席を確保したことで1月20日に始動するバイデン次期政権は上院での多数党の立場を6年ぶりに奪還することになり、バイデン次期政権は米議会での法案の可決、人事の承認等で優位な立場を確保できる。

[ロシア] 政府は独自開発したワクチン「スプートニクV」を100万人超に接種し終えたと発表した。2021年11月までに人口1億4,600万人強の70%に接種することを目指している。また、ワクチンを接種した人に対して、「ワクチンパスポート」を発行し、社会活動を許可するというアイデアも検討している。ロシアや外国での出入国手続きなどの簡素化も目指す。

[ポルトガル] 1月1日からEU議長となったコスタ首相が①コロナウイルス危機後の経済回復、②社会的支援ネットワークの拡大、③EUの戦略的自律性の強化を今年6月末までの優先事項として発表した。最重要事項は①の経済回復であると強調。教育とイノベーションへの投資を促進することで、①が②につながるとの考えを明らかにし、「ドイツが議長国在任中に決定したグリーンでデジタルな回復の方向性を具体化する」ことを表明。さらに、気候変動対応とデジタル化を「コスト」とみる動きに対しては、むしろ「チャンスとみるべき」との見解を示している。

[韓国] 世論調査会社のリアルメーター社が1月7日付で発表した、2021年1月第1週の文大統領国政執行支持・不支持率と政党支持率の調査結果は以下の通り。大統領支持率:35.1%(前週比▲1.5p)、同不支持率:61.2%(同+1.3p)、無回答:3.7%。国民の力(野党):32.5%(同+2.1p)、共に民主党(与党):28.6%(同▲1.1p)。大統領不支持率が初めて60%を超えたが、特に女性と30代の支持離れが響いた。不動産価格抑制の失敗、雇用環境の悪化などの経済政策や新型コロナ対応などに国民の不満があるとみられる。

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