デイリー・アップデート

2021年12月17日 (金)

[米国] 11月16日、同日公表した声明の中でバイデン大統領は、総額1.75兆ドル規模の歳出法案であるBuild Back Better(BBB)法案の年内成立を断念し、年明け後の第117議会第2会期に成立を目指す方針を発表した。BBB法案中に規定されている児童手当に民主党穏健中道派のマンチン上院議員が反対しているために年内の成立を断念。上院の与野党議席が拮抗する中、上院民主党をまとめられきれずに年明けまでの審議継続を強いられたことはバイデン政権にとり打撃。

[パキスタン] 12月14日、中央銀行であるパキスタン国立銀行(SBP)は100ベーシスポイントの利上げを実施し9.75%とした。市場は50から200ベーシスポイントの利上げを予測していたため予想の範囲内だった。インフレは高進し、11月の消費者物価指数は前年同月比+11.5%とSBPの目標値である6%をはるかに上回っている。また通貨安が進んでいることもありSBPは今後も引き続き利上げを行うとみられる。

[欧州] 11月16日、ECBは理事会を開催し、パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の買い入れ額を2022年Q1に縮小し、3月に終了することを決定した。激変緩和措置として、資産買い入れプログラムの購入額をQ2に月額400億ユーロに倍増させる。また、PEPPによる保有資産を維持する期限をこれまでの2023年から2024年まで1年間延長し、その間にギリシャ国債の購入割合を増やすことも選択肢とした。必要であれば、PEPPを再開する用意があることを示すなど、慎重な対応となっている。

[ロシア] 中央銀行は12月17日に今年最後の政策金利会合を開く予定。インフレに減速の兆しが見られない中、追加利上げに踏み切る可能性がある。市場予想では現在の7.5%の金利を8.5%とする大幅な利上げを発表するとみられている。11月の消費者物価は前年同月比で8.4%上昇。中銀が目標とする年4%を大きく上回っている。

[アフガニスタン/中国] タリバンのスポークスパーソンであるサビフラ・ムジャヒドは、12月14日に、タリバンがアイナック銅山で中国との作業を再開したと述べたが、同プロジェクトの開発を契約している中国冶金科工股份有限公司は「プロジェクトに進展はない」とこれを否定し、現地の不安定な情勢が建設の主な障害になっており、鉱山の操業再開には時間がかかるとみていることを示した。

[トルコ] 12月16日、中央銀行は政策金利を1%ポイント下げて14%とした。9月から4会合連続(計5%ポイント)の利下げ。これを受けて通貨リラが米ドル建てで約6%下落し、$1=15.73リラの過去最安値を記録。円建てでも1リラ=7.24円まで下げた。エルドアン大統領の影響を強く受けた利下げに対し、野党政治家は強く反発。トルコの11月CPIは前年同月比+21.3%とインフレが加速しており、リラ安も重なって、国民生活は苦しくなっている。同日エルドアン大統領は、2022年1月から最低賃金を50%引き上げると発表。

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