デイリー・アップデート

2022年8月9日 (火)

[米国] NY連銀の「消費者期待調査(Survey of Consumer Expectations)」によると、消費者の1年先のインフレ期待(中央値)は6.2%となり、直近ピークの6月から0.6pt低下した。また、3年先のインフレ期待は3.2%と前月から0.4ptの低下で、2021年4月以来の低水準になった。感染拡大前の2019年には2%台後半だったことを踏まえると、インフレ期待が依然として高水準であるものの、消費者のインフレ期待が変化の兆しを示しているかもしれない。

[ガーナ] 5日、S&Pはガーナの自国通貨建ておよび外貨建て格付けを、それぞれB-/BからCCC+/Cに引き下げ、見通しもネガティブとし、政府の限られた資金調達の選択肢と、財政赤字が課題と指摘した。ガーナは最近になってIMFと資金調達について交渉を開始する姿勢を見せたが、格下げはより高い信用リスクプレミアムと借り入れコストの増大をもたらし、よりマクロ経済安定に向けたハードルが上がったとみられる。

[イラン/米国/EU] 8月4日からウィーンで再開されていたイラン核合意(JCPOA)再建交渉が、8日夜に終了し、交渉に参加していた各国の代表団がそれぞれの国へ帰国した。今回の交渉では、7月にボレルEU外務・安全保障政策上級代表が提出したJCPOA再建のための「最終草案」について話し合われた。8日、米国務省報道官は「早急に合意を締結する準備がある」と発言したが、イラン国営メディアは政府高官の話として、合意までにさらなる交渉が必要で今回の草案を最終版とは考えていない旨発言していると伝えられている。

[米国] 民主党が重視する気候変動対策や再生可能エネルギーの推進、医療費の引き上げ等の施策が盛り込まれた歳出総額4330億ドルの「インフレ削減法案」の上院本会議での採決が8月7日に行われ、賛成51票、反対50票で可決されて下院に送付された。下院本会議では8月12日に採決が予定されており、民主党が辛うじて多数党の立場を維持していることから、下院での可決を受けてバイデン大統領が署名して成立する見通し。バイデン氏にとり立法上の大きな勝利となる。

[インド] 8月5日、インド準備銀行(RBI、中央銀行)は金融政策決定会合を開催。政策金利(レポ金利)を0.5%pt引き上げ、5.4%に決定した。3会合連続の利上げ。消費者物価指数(CPI)の前年同月比の伸びがやや鈍化しているもののRBIのインフレターゲットの上限である6%を6カ月連続で上回っており、年内は利上げが続くとみられる。

[ウクライナ/ロシア] ウクライナ南部・ザポリージャの親ロシア派地域の行政機関トップが8月8日ロシアへの編入に向けた住民投票に関する法令に署名した。詳細な日程はまだ不明。ロシア主導とみられる住民投票はヘルソンとルハンスクでも計画されていて、ロシアの統一地方選と同日の9月11日の実施を目指しているとされている。

[インド/中国] インド政府は、中国の携帯機器メーカーが12000ルピー(150ドル)より安いデバイスを販売することを制限し、低迷する国内産業を活性化することを計画しているとブルームバーグが報じている(8月8日付)。2020年の中印国境での衝突以降、インド政府は中国製アプリの使用禁止や、ファーウェイとZTEの通信機器の利用を事実上禁止した。また、最近ではシャオミやOppo、Vivoなどの中国企業を脱税やマネー・ロンダリングの疑いで調査し、シャオミがインドの銀行口座に保有する資産を一時凍結するなど、厳しい姿勢をとっている。

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