デイリー・アップデート

2022年8月31日 (水)

[パキスタン] 8月29日、国際通貨基金(IMF)は、同国に対し新たに過去2番目の規模となる11億ドル超の融資を決定した。同国は経済低迷に加え洪水の被害が大きく追い打ちがかかっている状況。同国はIMFのほか、中国、サウジアラビアなどからの支援も要望している。サウジアラビアはパキスタン中央銀行に30億ドルを保有しているが、同国はサウジアラビアに対し外貨準備高が不足しているため迅速に借り入れられるようにそのまま中銀に保有することを求めている。

[日本] 経済産業省によると、7月の鉱工業生産指数は前月比+1.0%となり、2か月連続の増産となった。自動車や汎用・業務用機械、生産用機械、電気・情報通信工業など全15業種中6業種が増産となった。6月に実施された上海の都市封鎖が解除されたこともあり、生産活動がゆるやかに持ち直している。ただし、8業種が減産だったこともあり、基調判断は「生産は一進一退」と据え置かれた。製造工業生産予測調査は8月、9月も増産見通しとしているが力強さを欠いている。

[ブラジル] 7月の新規正規雇用数は21万8000人となり、2022年はこれまでに合計で159万1千人の正規雇用が創出され、順調に労働市場が回復している。回復ペース自体は鈍化しているが、今後も緩やかな回復がつづくとみられている。一方で、実質所得については、高インフレの影響もあり下落している点が懸念される。

[中国] 中国国内で新型コロナウイルス感染者が徐々に増えており、深セン市当局は8月29日に中国最大の電気街「華強北」を閉鎖したほか(9月2日迄)、中心部の24駅で地下鉄の運行を停止した。深センでは初めてBF.5.2.1株から生じたBF.15株の感染流行が確認され、後者はより発見がしにくく、感染力も強いとしている。深センは3月にも1週間ほどロックダウンしたことがあり、現在は工場なども操業を継続しているが、今後の感染状況と制限措置が注視されている。また、大連市でも数百万人がロックダウンの対象となっている。

[米国] ロシアのウクライナ侵攻から半年以上が経過し、ウクライナ戦争の長期化が認識されるようになっている。そうした中、欧州諸国がロシア産エネルギー依存から脱却しようとする姿勢を鮮明にしており、米国の欧州向けLNG輸出問題が注目されている。今後米国内ではエネルギー増産を目的とした国内投資の必要性を訴える圧力がバイデン政権に対して強まる可能性がある。

[中国] 8月30日、党中央政治局会議が開催され、北京市で、中国共産党第19期中央委員会第7回全体会議(七中全会)を10月9日から、同第20回全国代表大会(党大会)を10月16日から開催することが事実上決定された。過去のパターンからすると、七中全会で党大会への報告書案などが採択され、党大会(2千名規模、7日間)でその承認や第20期中央委員会委員(委員+候補委員合計400名弱)の選出が行われる。党大会終了翌日に、第20期中央委員会第1回全体会議(一中全会、1日間)が開かれ、党総書記、中央政治局常務委員、中央政治局委員、中央紀律検査委員などが選出される。

記事のご利用について:当記事は、住友商事グローバルリサーチ株式会社(以下、「当社」)が信頼できると判断した情報に基づいて作成しており、作成にあたっては細心の注意を払っておりますが、当社及び住友商事グループは、その情報の正確性、完全性、信頼性、安全性等において、いかなる保証もいたしません。当記事は、情報提供を目的として作成されたものであり、投資その他何らかの行動を勧誘するものではありません。また、当記事は筆者の見解に基づき作成されたものであり、当社及び住友商事グループの統一された見解ではありません。当記事の全部または一部を著作権法で認められる範囲を超えて無断で利用することはご遠慮ください。なお、当社は、予告なしに当記事の変更・削除等を行うことがあります。当サイト内の記事のご利用についての詳細は「サイトのご利用について」をご確認ください。

17人が「いいね!」と言っています。