デイリー・アップデート

2022年8月10日 (水)

[日本] 日本銀行『企業物価指数』によると、7月の国内企業物価指数は前年同月比+8.6%となった。プラスは17か月連続。約8割の品目が上昇しており、川上の物価上昇のすそ野も広がりつつある。また、輸入物価指数は円ベースで+48.0%となり、6月の+47.6%から小幅拡大した。3月の+32.5%から4か月連続で拡大。また、契約通貨ベースでは+25.4%であり、6月の+27.1%から小幅縮小した。資源・エネルギー価格の高騰に、円安・ドル高が重なった影響が表れている。

[南米] ブラジルの7月のインフレ率は前年同月比+10.1%となり、6月の+11.9%から大きく低下した。主な要因はエネルギーに対する減税の結果であり、エネルギー以外の物価は依然として高い水準で推移していることから、楽観視はできないが、中央銀行が9月の次回会合で金利を据え置く可能性もでてきた。一方、メキシコでは7月のインフレ率は6月の+7.99%から+8.15%に上昇した。今後は8月にピークを迎え、その後、年末にかけて、徐々に低下トレンドに入るとみられている。

[ウクライナ] 2014年にロシアが併合したクリミア半島にあるロシア空軍基地で9日、複数回の爆発があり炎と黒煙が立ち上がった。1人が死亡し、約8人が負傷したとみられる。ロシア国防省の発表によると、ウクライナ軍による攻撃ではなく複数の弾薬庫で事故による爆発であった模様。

[フィリピン] 8月9日、2022年4-6月期(第1四半期)の実質GDP成長率は前年同期比+7.4%、前期比▲0.1%だったと発表された。前期(前年同期比+8.2%、前期比+1.9%)から減速した。消費は前年同期比+8.6%と高い水準を維持したが、財・サービス輸出が同+4.3%と大幅に鈍化した(財輸出は▲2.1%)。新型コロナウイルスの感染は抑えられ、経済活動の再開は進んだが、中国のロックダウンによるサプライチェーンの混乱や世界的な景気減速により、外需は成長率の押し下げ要因になった。今後については、7月のCPI上昇率が前年同月比+6.4%まで上昇しており、インフレが消費に及ぼす悪影響が懸念される。中銀も金融引き締めを続け、政策金利を3.25%まで引き上げている。世界的な景気後退リスクも輸出への逆風になる。

[トルコ] 8月9日、トルコの海洋ガス田掘削船が東地中海でのガス田探査・掘削活動のため出港した。出港式典に参加したエルドアン大統領は、トルコの主権範囲内での作業なので他の誰からも許可や了解を得る必要はない、と発言。2019~20年には、トルコが東地中海のギリシャやキプロスとの係争海域に掘削船を派遣し一触即発の事態になったが、2020年12月以降は諸外国との関係改善に舵を切っていた。世界各国がロシア産ガスの代替を探す中、東地中海でも天然ガスを巡って緊張が再燃する可能性がある。

[米国] ベラルーシのルカシェンコ大統領はロシアのウクライナ侵攻を熱心に支持しており、国内では反政府勢力に対する人権弾圧を強化している。2022年6月、ベラルーシ担当米特使のフィッシャー氏が辞任したが、ベラルーシとの米国の外交的関与を前進させ続けるためにも空席のままとなっている同ポストの後任を任命することが不可欠であるとしてシャーヒーン上院議員ら超党派の上院議員5人が連名書簡をブリンケン米国務長官宛に送付した。

[お休みのお知らせ] 2022年8月11日~2022年8月15日のデイリーアップデートはお休み致します。

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