デイリー・アップデート

2022年8月2日 (火)

[ユーロ圏] 欧州統計局(Eurostat)によると、6月のユーロ圏の失業率は6.6%となり、4月以降横ばいが続いている。ただし、ドイツの2.8%からスペインの12.6%まで国によって、失業率には幅がある。一方で、ユーロ圏の25歳以下の若年層の失業率は13.6%となり、5月の13.2%から小幅上昇した。4月の13.8%に比べて低いものの、景気の先行き不透明感が高まっていることもあり、一時的な動きなのか否かが注目される。

[ザンビア] ザンビアの二国間債権者委員会は、債務救済について合意に達したと発表した。2020年にデフォルトして以降、債務再編が同国の大きな問題となっていた。対中関係にも改善の兆しが見えたことになる。ザンビアの対中債務は全体の4割を占めるとされるが、昨年当選したヒチレマ大統領は中国を優遇しないと宣言し、関係悪化が懸念されていた。

[ミャンマー] 7月31日、国軍が国防治安評議会を開き、非常事態宣言を半年間延長すると決定した。非常事態宣言は2021年2月1日に1年の期間として発令され、2022年1月31日に半年間延長されていた。今回の延長は2回目であり、同国の憲法上、非常事態宣言の期間が終了する2023年1月31日から半年以内に総選挙を行う必要がある。ミンアウンフライン国軍司令官は2023年8月までに総選挙を行うとの方針を表明している。また、8月1日、同国軍司令官は国営TVで国民向け演説を行い、「ASEANの5点のコンセンサスの履行は、昨年までは新型コロナウイルスの感染拡大や反体制派の「テロ」に対処するために実現が難しかったが、今年は状況が改善したので、可能な限り実施する」と表明した。

[イラン] 今年3月以降停滞しているイラン核合意(JCPOA)再建交渉を再開するために、7月26日にボレルEU外交安全保障上級代表は新たな草案を提案したと発表した(新提案の内容は非公開)。それに対し、8月1日、米国のブリンケン国務長官は、EUの提案を支持するがイラン側にその意思があるかどうか不明と発言。同日イラン外務省報道官は、交渉の再開は米国の意思に掛かっていると発言している。米・イラン両国の内政事情や双方の思惑、情勢の変化などが複雑に絡み合い、交渉がとん挫している。

[米国] ペロシ下院議長は下院議員団を率いてマレーシア、シンガポール、韓国、日本のアジア歴訪中であるが、8月2日夜にも台湾を訪問し、蔡英文総統らと会談することが見込まれる。大統領継承順位第2位の下院議長の訪台は1997年4月のギングリッチ下院議長の訪台以来四半世紀ぶりとなるが、中国の反発は必至の情勢である。ペロシ下院議長は長き下院議員生活を通じて中国の人権弾圧等を厳しく非難し続けた政治家である。

[中国] 7月29日付の「中新経緯」紙によると、地方政府が大学新卒者や失業者、或いはそれらを雇用する企業に対して様々な就業・起業・雇用支援策を打ち出している。新卒者本人に支給するものでは、合肥:面接補助金500~1,000元(1回のみ、市外の新卒者が合肥市の企業に就職活動に来た場合)、深圳・西安・北京:起業補助金3,000・5,000・8,000元(1回のみ)、企業に支給するものでは、上海:雇用吸収補助金2,000元/人(個人事業主対象)、鄭州:雇用補助金3,000元/人(支給上限100万元、50人以上の新卒者雇用・1年以上の雇用契約締結の場合)など。

[中国] 1日、「中華人民共和国黒土地保護法」が施工された。黒土保護を国レベルで立法化した世界で唯一の法律としている。黒土は肥沃な土地として知られているが、近年では黒土の劣化や流出が問題となっていた。中国科学院の「東北黒土白書(2020)」によれば、この60年で東北黒土耕作層の土壌有機質は3分の1、一部地域では50%低下した。黒竜江省の測位によると、傾斜地の年間土壌流失の厚さは0.6~1センチになる。過剰開墾や肥料の過剰使用、また土地の流出は自然の影響以外に、盗難・売却も一因になっている。

[ウクライナ/ロシア] ロシアの黒海封鎖でウクライナ産穀物の出荷が停滞していた問題で、トウモロコシ2.6万トンを載せた貨物船が8月1日、ウクライナ南部オデーサ港を出港し、海上輸送が再開された。ウクライナ政府によると、ロシアのウクライナ侵略以降、同港から初めての海上輸送となる。

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