デイリー・アップデート

2022年8月1日 (月)

[イラク] 親イランのイラク議会最大勢力である「調整枠組み(CF)」が、マーリキ―元首相に近いスーダーニー元大臣を次期首相に擁立しようとしたことに対して、対抗派閥であるサドル師支持派がこの人選に反発し、7月30日に同派を支持する民衆が議会を占拠した。催涙ガスを発射する治安部隊との衝突で、少なくとも双方で125人が負傷したとのこと。7月27日に同様の事態が発生した際には、サドル師の指示で民衆はその日のうちに議会から退去したが、今回は座り込みを続けるとして現在も占拠が続いている。

[米国] 7月29日、ブリンケン米国務長官はラブロフ露外相と米ロ電話外相会談を実施したが、ロシアがウクライナに侵攻する約1カ月前の1月21日の対面式での米ロ外相会談以来初めての協議となった。ロシアは今年9月に予定されているロシア地方選挙の際に、現在支配しているウクライナ領で見せかけの住民投票を実施してロシア領に併合しようとしているとバイデン政権は批判しているが、そうしたことを行った場合、追加経済制裁を発動する方針をブリンケン氏は表明した。

[バングラデシュ] 7月24日、政府はIMFに45億ドルの融資を要請した。国際収支や予算に関連した資金に加え、気候変動対策にも資金が必要と説明。2021年7月から2022年5月の経常赤字の累計は前年同期の27億8,000万ドルから172億ドルに拡大。ロシアによるウクライナへの軍事侵攻の影響で、エネルギーや食料品の輸入価格が高騰したことによる貿易赤字の拡大、コロナ禍で増加していた海外からの郷里送金がコロナ規制緩和等により減少しコロナ前の水準に戻ると思われることなどが主な理由。

[欧米] 米国の6月の個人消費支出(PCE)デフレータは前年同月比+6.8%と、5月の+6.3%から伸び幅を拡大、1982年1月以来の伸び率となった。特に、エネルギーの+43.5%が目立ったものの、財が+10.4%、サービスも+4.9%と上昇のすそ野が広がっている。また、ユーロ圏の7月の消費者物価指数(HICP)は前年同月比+8.9%と、比較可能な1997年以降で3か月連続で最高を更新した。食料品やエネルギー以外の財・サービスの価格も上昇傾向を強めている。

[メキシコ] メキシコの第二四半期の実質GDPの速報値は前期比+1.0%となった。世界経済は、後退懸念が高まってきているが、メキシコ経済はまだCovid19前の経済水準に戻り切っておらず、回復の余地があったことに加え、オブラドール政権のもとビジネス環境には逆風が吹いているものの海外直接投資が好調に推移していることが要因とみられる。

[ロシア] 7月31日、ロシア第2の都市サンクトペテルブルクで「海軍の日」を記念した水上パレードが行われ、プーチン大統領は演説の中で、極超音速巡航ミサイルを数か月以内に海軍に実戦配備すると明らかにした。

[中国] ◇7月29日、国務院常務会議は、消費が引き続き経済の主なけん引力となるよう後押しするとし、NEVの車両取得税免除政策の継続などを打ち出した。この政策は当初本年末に終了予定だったが、この決議で正式に延長が決まった。なお、NEVに対する補助金は、予定通り本年末で終了する。◇7月31日、不動産研究機関のCRICが発表した不動産企業上位100社の7月単月の販売データによると、売上高5,231.4億元、前月比▲28.6%、前年同月比▲39.7%となり、2か月続いた前月比プラスが途絶えた。最近の住宅ローン返済拒否事件の影響が大きかった模様。

[中国/ソロモン諸島] 豪州のTVプログラム「フォー・コーナーズ」は、中国国有企業が、ソロモン諸島の深海港と第二次大戦中の滑走路を購入するために交渉していると報じた。また、同番組は同国のソガバレ首相と首相と親しい国会議員らに、昨年2回、中国から計300万ドルの資金が直接提供された文書を入手したとしている。ソガバレ氏の署名入り書簡には、昨年8月にホニアラの中国大使館が、ソガバレ政権に「追加支援」を行うことに同意したと書かれていた。ソガバレ首相はこの資金を経済活性化のための「刺激策」と説明したが、野党議員は何も受け取っていないとしている。

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