デイリー・アップデート

2022年8月25日 (木)

[ブラジル] ブラジル地理統計研究所の発表した、8月中旬のIPCA-15インフレ率(拡大消費者物価指数)は前月比0.73%減となり、現行調査開始以来最大の低下となった。年間では、同+9.6%と依然高い水準だが、5月の+12.20%のピークから徐々に下落がみられる。ただし、今回の大幅な下落は、エネルギー価格(燃料と電力)に対する減税措置によるものであり、今後のインフレ率の低下には時間がかかると考えられる。当面は中銀の目標の上限である+4.75%を上回る状態となることから、政策金利の引き下げは来年後半となる可能性が高い。

[ミャンマー] 米系メディアによると、通貨チャットの為替相場下落を受け、中国との国境貿易が停滞している。そのため、中国製品の価格高騰により、自国通貨安により輸出で得た収益をもとにした輸入ができなくなっているという。対人民元のチャット相場は、8月初旬時点の1元=300チャットから足許では420チャットまで急落している。

[米国] 商務省によると、7月の非国防資本財(除く航空機)の受注は前月比+0.4%となり、5か月連続で増加した。また、非国防資本財(除く航空機)の出荷は同+0.7%と17か月連続で増加した。2022年第2四半期の実質GDP成長率が前期比マイナスだった中で、企業設備投資がGDPの押し下げ要因となっていた。Q3の最初の月である7月が増加となったため、企業設備投資の回復が期待される。ただし、物価上昇の影響が懸念される。

[中国] 中国の中南部で熱波と干ばつが続いていることから、8月22日、農業農村部、水利部、応急管理部、中国気象局の4部門が共同で秋の穀物収穫を確保するための緊急通知を発表した。現在、干ばつに見舞われている地域は主に水稲の生産地で、秋の収穫は通年の生産量の75%を占める。政府は各地に干ばつ対策チームを派遣し、ピークをずらした水流の管理や新たな水源の整備、作業航空機による人口的な増雨作業などを試みるとしている。他方、フォーリン・アフェアーズ(オンライン版)に8月23日に掲載された論評は、中国の帯水層の過剰な水のくみ上げは、中国に長期的かつ深刻な水不足問題を引き起こすと警告している。

[米国] 11月8日に投票が行われる米国中間選挙については、バイデン大統領の支持率の低迷や経済運営やインフレ対策への有権者の不満といった政治・経済情勢を背景として、これまで、野党・共和党が圧勝することが確実視されてきた。だが、最近上院議員選挙については上院議員選挙の帰趨を決する「激戦州」を中心に共和党候補の苦戦が明らかになってきており、改選後に共和党が上院で少数党にとどまる可能性も浮上してきている。

[中国] 8月24日、国務院常務会議は、経済回復の基礎を固めるとして、5月に決議した33項目の経済安定政策パッケージの後続政策として更に19項目の措置を採択した。主要なものとしては、①開発銀行・農業発展銀行の貸付枠3,000億元の追加、地方政府特別債残枠5,000億元利用による地方債発行 ②インフラなど事業の着工認可促進、プラットフォーム経済の発展促進 ③行政費用納付を3か月猶予 ④中央発電事業者による2,000億元のエネルギー供給保障特別債の発行を支持、農業資材補助金100億元の追加 ⑤着実な政策実行のため要員を地方に派遣など。

記事のご利用について:当記事は、住友商事グローバルリサーチ株式会社(以下、「当社」)が信頼できると判断した情報に基づいて作成しており、作成にあたっては細心の注意を払っておりますが、当社及び住友商事グループは、その情報の正確性、完全性、信頼性、安全性等において、いかなる保証もいたしません。当記事は、情報提供を目的として作成されたものであり、投資その他何らかの行動を勧誘するものではありません。また、当記事は筆者の見解に基づき作成されたものであり、当社及び住友商事グループの統一された見解ではありません。当記事の全部または一部を著作権法で認められる範囲を超えて無断で利用することはご遠慮ください。なお、当社は、予告なしに当記事の変更・削除等を行うことがあります。当サイト内の記事のご利用についての詳細は「サイトのご利用について」をご確認ください。

17人が「いいね!」と言っています。