デイリー・アップデート

2020年7月3日 (金)

[ボリビア] 大統領選挙と議会選挙を9月6日に実施することをアニェス暫定大統領は渋々受け入れたが、新型コロナウイルス対策を巡る批判やボリビア経済の急失速で同大統領への支持は低下しており、モラレス前政権で与党であった社会主義運動(MAS)のアルゼ元経済相と中道派のメサ元大統領の一騎打ちとなる可能性大。投票日までの2か月で新型コロナウイルスの感染がさらに拡大した場合、選挙が再延期される可能性もある。

[マレーシア] 現地報道によると、マレーシア政府は、パーム油の対EU輸出の障壁になっているEUでの「反パーム油キャンペーン」について、紛争解決制度を通じて解決を図るため世界貿易機関(WTO)に提訴する意思を固めた。マレーシアは、同様の問題を抱えるパーム油輸出国であるインドネシアによるWTOへの提訴にも第三者として加わる方針で、主要パーム油輸出国同士の連帯と上述のキャンペーンに対抗する意志を示す意向という。

[ウクライナ] 7月1日、中央銀行のスモーリー総裁が突然辞意を表明した。国内のオリガルヒ(新興財閥)から政治的な圧力が続いていると話している。ゼレンスキー大統領はスモーリー総裁の辞意を受け入れたが、正式な辞任には議会の承認も必要とする。このためウクライナは予定していた17億5,000万ドル(約1,880億円)相当のユーロ債の起債を中止した。

[EU] 7月2日、フォン・デア・ライエン委員長は、EU首脳によるEU予算ならびにコロナウイルス復興基金案の承認という作業を迅速に成功させるには、強力な政治的リーダーシップが必要であり、EU機関間の緊密な調整と欧州議会の全面的な関与が最重要であるとの見解にふれ、8日にミシェル大統領、サッソーリ欧州議会議長、メルケル首相と4名で”ミニ”サミットを開催することを発表した。一方、欧州議会は理事会と対等な立場であることを強調するなど、予算・復興基金案承認については不透明感が高まっている。

[中/英/香港] 英政府が、英国発行のパスポート(BNO)を持つ香港住民に、英国での定住や市民権の獲得を促す対抗措置を決定したことに対し、中国政府が強く反発している。劉暁明・駐英中国大使や趙立堅・外交部報道官は「強烈な不満と確固とした反対」を表明、英政府の決定は国際法違反であり、これに起因するすべての結果は英国に責任があると批判した。1997年の香港返還以前に生まれた香港市民はBNOを申請できる。香港紙SCMPは、英政府の決定を歓迎する香港市民の声や、最初の5年間は何の社会保障もないため相当の資産がなければ移住は難しいと嘆く市民の声などを紹介している。

[ミャンマー] 7月1日、選挙管理委員会が総選挙を11月8日に実施すると発表した。新型コロナウイルスの感染拡大で延期も取り沙汰されていたが、予定通りの実施が決定された。与党NLDはすでにアウンサン・スーチー国家顧問が出馬することを明らかにしている。なお、ミン・アウン・フライン国軍司令官は、6月のロシアの対独戦勝記念式典に出席した際、地元メディアのインタビューに答えて、「11月に行われる総選挙後、国民からの信任があるのであれば、政治への参加のあり方を考える」と発言した。大統領就任を念頭に置いた発言との見方がある。

[レバノン] 今年3月にデフォルトを発表したレバノン政府とIMFとの協議が難航している。IMFからの100億ドルの支援の条件としてディアブ政権が発表した大胆な経済改革案に、レバノンの中央銀行や金融セクターが強く反対していることが大きな理由で、政府側交渉担当者が立て続けに辞任する事態となっている。通貨ポンドは1ドル=1,507ポンドの固定レートだが、昨年後半以降実質価値は下がり続け、現在闇市場では1ドル9,000ポンドを超えるレートで取引されている。

[米国] 7月2日、上院にて提出されていたWTO脱退決議案は審議されないことが実質的に決定された。WTO残留の是非をめぐり、初めて上院が意思表示を行う機会になるかと注目されていたが、通商政策について立場を明らかにすることを嫌った議会指導部の意向が改めて明らかになった。下院においても、先月、議事規則の変更によって、同様のWTO脱退決議案が採決されないことが決まっている。

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