デイリー・アップデート

2020年7月22日 (水)

[米/中] 今年に入ってから米中関係は悪化の一途をたどっており、世界各地での新型コロナウイルス感染拡大に対する中国の責任、香港問題、中国ハイテク企業の排除問題、人権弾圧、南シナ海ほかでの領有権問題等 に及んでいる。トランプ政権の主要閣僚らは相次いで欧州を訪問して対中政策に関する協議を重ねるとともに、米国内では大統領選挙や連邦議会選挙の主戦場となる「激戦州」での演説等の情報発信が目立っており、トランプ再選戦略の一環として中国批判を強める動きが鮮明になっている。

[アジア太平洋] 世界銀行によると、アジア太平洋地域22か国でコロナ危機のピーク時に学校が閉鎖された。Eラーニングは学校で直接教育を受けるより効果が低い という。例えば、インドネシア教育文化省の最近の調査によると、35%の生徒がEラーニングで授業内容を理解したと回答した一方、44%の生徒がある程度理解したと回答し、20%の生徒は理解できなかったと回答している。

[エジプト] 7月20日、エジプト議会は外国のテロリストや武装集団からの国家防衛のために、エジプト軍の国外派兵を承認する議案を全会一致で採択した。これは、リビア東部代表議会からの軍事介入要請に基づくもの。リビア西部の首都トリポリを拠点とする国民合意政府(GNA)は、昨年11月に同様にトルコへの軍事介入を要請し、以降トルコは積極的に軍事支援を行っている。今回の決定で、トルコとエジプトがリビアの地で直接軍事的に衝突する可能性が懸念されている。

[米国] 7月21日、米国下院は2021年度国防授権法案を、賛成295票、反対125票の圧倒的多数で可決。予算総額は7,405億ドル。法案には、南北戦争時の南軍由来の基地名称変更が規定されているが、トランプ大統領は以前より名称変更には反対の立場。同日、ホワイトハウスの行政管理予算局は書簡を議会に送付し、同法案の一部条項に対する政権側の反対を伝えた。その筆頭に基地名称変更を挙げ、大統領による拒否権発動の可能性すら示唆した。

[中国] 米国拠点の中国語ニュースメディア『多維新聞』が「次期総理は胡春華氏(現・副総理)」との香港『明報』の観測を取り上げた。背景・理由は以下。◇総理の任期制(2期まで)は2018年の改憲後も不変ゆえ、李克強・現総理は13期で退任。次期総理は、2022年秋の第20回党大会で政治局常務委員に就任する必要あり。総理就任は2023年春の14期全人代を予測。◇総理は副総理経験が必須。(胡氏以外の現職の副総理は年齢制限があり政治局常務委員になれない。)◇胡氏は最近活躍が目覚ましい。地方視察が多く、必ずCCTVで報じられている。以前は内向的だったが、現在は快活で物おじせず発言。◇貧困救済の大役を習近平主席から任されており、信任も厚い。

[中国] 7月21日、習近平国家主席は北京で企業家座談会を開催した。習主席は、経済について「国内大循環」を徐々に形成し、国内と国際の双循環が相互に促進しあうような情勢を作るべきだと述べた。新型肺炎の感染拡大による世界経済の停滞や米中摩擦など国際環境の悪化から、国内需要に経済成長の軸足を置いていくべきという方針を示した。改革開放の深化、国内市場の開放なども引き続き行っていくとしており、かつての「自力更生」を目指すわけではない。会議では7企業の代表も意見表明を行い、外資ではマイクロソフトとパナソニックの現地代表が発言した。

[ロシア] 7月21日、プーチン大統領は、2030年までに「世界平均を上回る経済成長率を確保する」などの国家目標を定めた大統領令に署名した。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済悪化を受け、2024年までの達成を掲げた従来の目標を修正し、達成期限を6年延長した。

[英国] 7月21日に公表された議会の国家情報・安全保障委員会による「ロシアの内政干渉に関する報告書」によると、2016年のEU離脱の是非を問う国民投票時にロシアのメディアによる報道が投票結果に影響を及ぼしたとみられているが、英国政府による認識が遅く、行動も起こさなかったことを指摘している。なお、この報告書は昨年10月にジョンソン首相に提出されていたが、これまで公表されていなかった。

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