デイリー・アップデート

2020年7月8日 (水)

[イラク] 7月6日夜、イラクの著名な政治アナリストHisham Al-Hashemi氏(47)が、バグダッドの自宅前で武装集団に暗殺された。Al-Hashemi氏は、イスラム国(IS)などテロリストに関する分析を専門とし、国内メディアで解説を行い海外の諜報機関ともつながりがあった。最近ではシーア派民兵集団PMUの動きを批判し、ISやPMUから殺害予告を受けていた。

[米/中] 7月7日、米国務省は、外国人による中国チベット自治区への立ち入り規制に関わった中国政府・中国共産党関係者の訪米を規制する、との長官声明を発表。2018年チベット相互訪問法に基づく措置で、声明によれば、国家間の往来は本来相互主義であるべきで、かつ地域の秩序安定、人権弾圧、環境破壊にまつわる懸念に鑑み、入国規制を実施するとのこと。対象となる中国政府関係者の人数等については発表がなかった。

[米国] 7月7日、Financial TimesとPeter Peterson財団は、6月23日から29日までの間に実施した最新世論調査の結果を公表した。「米国経済は1年以内に完全回復する」との回答が1か月前の前回調査での42%から5pt低下して37%になった一方、「米国経済の回復には1年またはそれ以上かかる」との回答は前回調査の58%から5pt上昇して63%に達しており、米国経済の先行きに対する悲観的見方は、とりわけ新型コロナウイルス感染が急増している南部・西部の諸州で顕著。再選を狙うトランプ大統領には厳しい状況。

[フィリピン] 7月7日、フィリピン統計庁(PSA)は、2020年6月の消費者物価指数(CPI)が 前年同月比2.5%上昇したと発表。伸び率は5か月ぶりに加速。公共交通機関の一部再開と、原油価格の上昇が影響した。CPI発表後、フィリピン中央銀行(BSP)はさらなる経済対策を早急に進めるべきとコメントし、6月のCPIは加速したものの、コロナ禍の影響が大きくインフレ圧力は限定的と分析した。また、2020年のCPIは平均+2.3%とここ6カ月の平均+2.5%より低下し、2021年は平均+2.6%になると予測。失業率が高水準(第2四半期:17.7%)にあることがCPI上昇を抑制している。

[欧州] 7月7日、欧州委員会は、「欧州経済見通し」を公表した。前提条件は、社会的距離の確保など対応策を講じつつも、第2波による都市封鎖などを回避するというもの。ユーロ圏のGDP成長率は2020年に▲8.7%と、前回の5月見通し(▲7.7%)から下方修正となった。これまでの状況を踏まえて、フランスやイタリア、スペインは見通しを下方修正し、いずれも2020年は二桁減の成長率。一方で、ドイツは▲6.3%と小幅上方修正された。このように、域内の格差が広がりつつあるもよう。

[ロシア] 7月7日、ロシア連邦保安局(FSB)は、北大西洋条約機構(NATO)関係者にロシアの軍事機密を漏らしたとして、有力紙「コメルサント」のイワン・サフロノフ元記者を国家反逆容疑で拘束したと発表した。FSBによると、元記者はチェコの情報機関の依頼を受け、軍事機密を収集し、情報を伝えた疑い。元記者は軍事分野を専門とし、コメルサント紙に約10年間勤めていた。

[英国] 7月7日、トラス国際通商大臣がサウジアラビアに対する武器・軍事装備の輸出を再開すると発表。昨年6月、英控訴裁判所が、サウジ向けに輸出された武器がイエメンで民間人攻撃に使用され国際人道法違反に該当したとする可能性を調査した際、英政府の調査・対応が十分でなかったとして、武器輸出を違法と判断したことから、政府は輸出を一時停止していた。しかし、英政府は新たな調査方法を採用した結果、裁判所が指摘した違反とされる事件は孤立した事案であり、サウジへ輸出された武器が必ず国際人道法に違反する行為に使用されるという明確なリスクはないと説明している。

[中国] 7月7日、経済メディア「第一財経」は、国内のエコノミストとのインタビューなどを通じて、今後の中国経済の見通しを以下のようにまとめた。①「六つの安定・六つの保障」政策の効果で全体的な経済活動はさらなる回復を遂げ、2020年2Qの経済成長率は高い確率でプラスに転じ、同3~4Qは+6~7%まで回復、通期では+2~3%が予想される、②経済の回復に関する目下の最重要課題は国内の有効需要不足であり、それが経済回復の内生的原動力を弱くしている、③下半期は財政政策の実行・加速が経済成長の主な糸口となる。

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