デイリー・アップデート

2020年7月9日 (木)

[シリア] シリア北西部の反体制派地域に対する越境人道支援について、現在行われているトルコとの国境沿い2か所からの越境支援を今後1年間延長するドイツ、ベルギーによる決議案が7月7日国連安保理に提出されたが、ロシアと中国が拒否権を行使して否決。翌8日に、今度はロシアが1か所からの越境支援を6か月間のみ延長する決議案を提出したが、4か国の賛成のみで採択されず。現在の越境支援活動が期限切れとなる7月10日まで、安保理での調整が続く。

[米/墨] 7月8日、メキシコのロペス・オブラドール大統領がワシントンにてトランプ大統領と会談。両首脳は共同声明に署名し、1日に発効したUSMCAの意義を誇った。2018年12月に就任したロペス・オブラドール大統領にとっては初の外遊。メキシコ国内では、メキシコからの移民を犯罪者呼ばわりし、国内支持を固めたトランプ大統領への反感が強いが、首脳会談では相互に穏やかな関係が演出された。カナダのトルドー首相は政治日程を理由に訪米しなかったが、対米アルミ輸出をめぐる緊張が背景にあるとみられる。

[ハリケーン] 2020年のハリケーン・シーズンが6月1日に開幕してから1カ月以上が経過したが、今季は観測史上異例の速いペースで熱帯暴風雨が既に5個も発生。専門家らは気候変動による海面温度の異常な上昇によりハリケーンが例年以上に数多く発生する可能性を指摘。アメリカ海洋大気庁(NOAA)は、今季はハリケーンが6個から10個発生し、そのうちの3個から6個が「カテゴリー3」以上の大型ハリケーンになると予測している。

[ロシア] 7月9日、警察と連邦保安局(FSB)は、殺人予備罪などの容疑で極東・ハバロフスク地方のセルゲイ・フルガル知事を逮捕した。当局によると、フルガル知事は2004-05年、複数の地元の起業家の殺害に関わり、未遂に終わった殺人の計画もしていたという。フルガル知事は2018年9月に行われた知事選挙で野党勢力の候補者として出馬し、当時の与党「統一ロシア」のシュポルト元知事を抑えて、当選した。

[EU] 7月8日、EU3機関トップ(EU委員長・EU大統領・欧州議会議長)とEU理事会持ち回り議長国である独のメルケル首相がミニ・サミットを実施。EU経済の動向が域内社会に深い影響を及ぼす点が強調されたことから、迅速な首脳合意に向け今後数週間の最優先事項として取り組むとして、EU機関および加盟各国間の調整が課題となる見込み。

[中国] 本年5月末現在、国内には55.1万基のEV充電施設がある。7月2日、業界首位で15.7万基を保有する特来電は、星星充電(13.2万基)、国家電網(8.8万基)などの競合他社との相互利用体制を開始、特来電アプリで国内施設の約7割の利用を可能にした。1万基超を保有する業者は8社で、約9割のシェアを握る。現在、黒字は特来電と星星充電の上位2社のみ。相互利用拡大の一方で、企業再編や淘汰が始まる可能性もあるが、政府の新型インフラ政策の影響で、アリババ、CATL、ファーウェイが本年3~4月EV充電業界に新規参入。EV車販売は本年1~5月累計で28.9万台、前年同期比▲38.7%と不振。

[中国] 中国人民大学重陽金融研究院は、中国の学者100名にアンケート調査を行い、米中関係に関する見方を分析した。62%が「米国は中国に『新冷戦』を仕掛けてきている」と認識している。その他の回答例は以下の通り:「米ソの冷戦のようにはならない:82%」、「中国は米国が『新冷戦』でしかけてくるであろう攻撃に対処できる:90%」、「米国は中国の発展を封じ込められない:76%」、「米中は最終的には『ツキジデスの罠』から抜け出すことができる:58%」、「ポンペオ米国務長官につける点数は10点満点中5点以下:87%」

[日本] 内閣府「景気ウォッチャー調査」によると、6月の景気の現状判断DIは38.8となり、前月から23.3pt上昇した。4月の底から二か月連続の上昇となった。景気の先行き判断DIも、二か月連続の上昇を記録し44.0となった。地域別にみると、感染が収まりつつある西日本地域の指数が相対的に高く、西高東低の傾向がみられる。また、先行き判断DIでは、沖縄が50.3と50を超えた。コメントなどから、8月以降の「Go To キャンペーン」など、先行きの回復への期待が大きいようだ。

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