デイリー・アップデート

2020年7月15日 (水)

[ドイツ] 欧州経済研究センター(ZEW)によると、7月のZEW期待指数は59.3となり、前月(63.4)から低下した。ただし、長期平均(21.4)を上回っており、景気の転換点の反動という一面もある。一方、現状指数は▲80.9となり、前月(▲83.1)から小幅回復となった。経済活動の再開などから先行きへの期待が大きい一方で、段階的な営業再開であり、足元の状況が追い付いていない様子がうかがえる。

[シンガポール] 7月14日、2020年4-6月期の実質GDP成長率が発表され、前年同期比▲12.6%、前期比▲41.2%だった。統計をさかのぼることができる1976年以降で2桁台のマイナスは初めて。前期は前年同期比▲0.3%、前期比▲3.3%であり、約11年ぶりの景気後退。新型コロナウイルスの感染拡大が影響し、主要3業種の成長率(前年同期比)は、建設業▲54.7%。サービス業▲13.6%、製造業+2.5%だった。一方、活動制限は6月以降、段階的に緩和されており、7-9月期は成長率の改善を予想。2020年通年の政府予想は前年比▲4~7%。

[イスラエル] 汚職疑惑で裁判中のネタニヤフ首相に辞職を求めるデモが、エルサレムの首相官邸前で発生。デモ隊は治安部隊と衝突し、約50人が逮捕された。同首相の新型コロナウイルス対策にも批判が集まっている。イスラエルでは、厳しいロックダウンで一旦収束しかけた新型コロナウイルスの感染者数が、ロックダウン解除以降増加し続けており、現在1日の感染者数が1,600人を上回っている。最新の世論調査では、国民の75%が政府のコロナ及び経済対策に不満を持っている。

[米国] 7月14日、バイデン前副大統領はクリーン・エネルギー・インフラの整備等を柱とする気候変動対策プランを地元デラウェア州ウィルミントンでの演説で発表。同プランには4年間で2兆ドルを投資するとともに、発電所からの二酸化炭素排出量も2035年までにゼロとする方針。再生可能エネルギーや原子力発電の活用を促進し、電気自動車の一層の普及も促す。民主党大統領候補指名獲得争い出馬時の当初の立場よりも踏み込んだ内容となっており、気候変動対策を強く求める民主党左派勢力に配慮しているのが特徴。

[中国] 中国税関総署が発表した6月の貿易統計によると、輸入は2020年に入って、コロナ危機発生以降初めて増加に転じ前年比+2.7%の1,671億5,300万ドルとなった。政府の経済対策によりコモディティの需要が急増し、内需回復が勢いを増している。輸出も海外での外出規制緩和を背景に前年比+0.5%の2,135億7,420万ドルと予想外のプラスとなった。米国からの輸入は同+11.3%。コロナ危機で2桁の落ち込みが続いていたが、プラスに転じた。 6月の対米貿易黒字は294億1,000万ドルと、5月の278億9,000万ドルから増加した。

[ベラルーシ] 7月14日、中央選挙管理委員会は、8月9日の大統領選で6選を目指す現職のルカシェンコ大統領の有力対抗馬と目されていた元銀行頭取のビクトル・ババリコ氏について、出馬申請を却下した。不法行為や所得の申告漏れが理由という。全国でこれに対する抗議の声が上がっており、首都ミンスクでは百数十人のババリコ支持者が地元警察に拘束された。

[EU] 7月14日、欧州委員会がタックス・ヘイブンと認定している国と関係を持つEU企業に対して財政的な支援を与えないという「勧告」を発表。目的は公的資金(国家援助)の誤った使用を防止し、EU全体で税制度の乱用に対するセーフガードを強化すること。この「勧告」を強化することで、EU単一市場内の競争のゆがみを防止・改善する狙い。

[中国] 7月14日、文化・旅行省は通達を公布し、省・自治区・直轄市を跨ぐ団体旅行の解禁を宣言した。景勝地での人数制限、予約制、ピークをずらすなどの運用方針は引き続き徹底するが、入場制限の上限はこれまでの施設収容可能人数の3割から最大5割に拡大する。新型コロナ禍のために閉鎖した旅行関連業者は、本年5月で9千余社、年初からの累計で既に3万余社に達している。GDPの11%を占め、直接・間接で8千万人弱の雇用を支える旅行業が生死の境にあると報じられており、本通達はいわば「恵みの雨」。なお、入出国を伴う旅行業務は未解禁のまま。

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