デイリー・アップデート

2020年7月10日 (金)

[タイ] 7月9日、ウッタマ財務相、ソンティラット・エネルギー相、スウィット高等教育相、コプサック首相付副秘書官長が与党「国民国家の力党」を離党すると表明した。ウッタマ財務相は「国民国家の力党」の党首、ソンティラット・エネルギー相は同党の幹事長だったが、6月に党役員から外されていた。4人は政府高官の職務を続けるが、近い将来に内閣改造が行われるとの観測が強まっている。

[米国] 民主党大統領候補の指名獲得を事実上確実にしているバイデン前副大統領は、7月9日、ペンシルベニア州で米国経済再生プランに焦点を当てて演説した。総額7,000億ドル規模の米国経済再生プランでは、連邦政府が4年間に米国製品・サービスを4,000億ドル調達し、新技術分野とクリーン・エネルギー関連施策に3,000億ドル支出するという内容。財源には法人税率の引き上げ、富裕層への所得税の課税強化が充てられる方針。

[ポーランド] 7月12日に大統領選挙の決選投票が行われる予定。現職のドゥダ大統領と、欧州連合(EU)の民主的・多文化的な価値観を重視する野党候補チャスコフスキ・ワルシャワ市長が争うことになっている。世論調査の結果は、決選投票が接戦となり、予断を許さない情勢であることを示唆している。有権者が右派与党「法と正義」の現路線継続を支持するかどうかが、今回の重要なポイントとなる。

[欧州] 7月9日に行われたユーロ圏財務大臣(19名)によるオンライン無記名投票で、アイルランドのドナフー財務相がセンテノEurogroup議長の後任となることが決定した。ユンケル元Eurogroup議長以来、久しぶりの中道右派政党所属の議長の誕生となる。就任は13日で、期間は2022年末までの2年半。ドナフー次期議長は、新型コロナウイルス 危機からの回復に向けたユーロ圏財政政策の調整を優先事項として挙げている。

[中国] 7月9日、科大国盾量子技術股份有限公司(QuantumCTek Co., Ltd.)が上海証券取引所の科創板(中国版ナスダック)に上場、発行価格36.18元/株から寄り付きで280元をつけ、それ以降も急騰し続け370.45元で引けた。同社は、2009年、安徽省合肥市に資本金6,000万元で設立された株式会社。主要株主は、間接分も含め、中国科学技術大学、聯想集団、銀輪股份など。量子通信設備の製造と通信インフラなどで量子によるセキュリティー・ソリューションを提供している。中国の光回線で量子による暗号化が実用化された通信ネットワークは総延長7,000km余、この内6,000km以上が同社によるものと報じられている。

[香港/米/中] 7月9日、ロイターは中国国有銀行が香港国家安全維持法にからむ制裁を米国から受けた場合に備え、対応策を検討・準備していると報じた。米ドル資金の締め出しや米ドル決済の停止が行われた場合にも備えているという。最近、周力・元共産党中央対外連絡部副部長や李巍・人民大学教授などが「米ドル圏と切り離した人民元圏構想」を発表するなど、最悪シナリオを想定した議論が中国国内で行われているもよう。他方、ブルームバーグは8日、ドルぺッグ制に打撃を与える制裁は、ホワイトハウスでは真剣に検討されておらず、HSBCなど香港の金融機関への制裁が重視されていると報じた。

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