デイリー・アップデート

2020年7月16日 (木)

[米/中] 7月13日、キース・クラック米国国務省国務次官が、ロイターに対し、2013年に米国公開企業会計監視委員会(PCAOB)と中国証券当局などが署名した国を跨いだ会計監査に関わるMOUを米国側が破棄する可能性に言及した。「財新網」は、本年5月に米上院を通過した「外国企業問責法案」が、米国に上場している外国企業が3年連続してPCAOBの監査要求に応じることが出来なくなった場合、証券の取引を停止すると定めていることと重ね合わせ、米国で上場している約250の中国概念株(中国国内に収入源があるものの中国国外で上場している中国企業の株式)の先行きが見通せなくなったと述べている。

[豪/印/中国] インド政府が、米国、日本と毎年行っている海上共同訓練「マラバール」に、オーストラリアを招待することを検討していると、インドの国内メディアが報じた。「マラバール」は1992年に米印の間で開始され、日本は2015年から毎年参加している。オーストラリアが参加することになれば、2007年に日米、シンガポールと共に参加して以来となる。「マラバール」開始時に、中国が「アジアのNATO」として批判してから、インドはオーストラリアの参加を断っていた。実現すればインド太平洋戦略の「クアッド協力」(日米豪印)につながり、中国の反発が予想される。

[米国] FRBは「地区連銀経済報告(ベージュブック)」を公表した。ほぼ全ての地区で、経済活動が拡大していると、前回5月から判断を上方修正した。その一方で、経済活動が再開しているものの、回復ペースは緩やかであり、コロナ以前に比べて水準が低いと評価されている。また、雇用環境では、一時休業などからの復帰がある一方で、足元にかけての感染者増加の影響もあって、レイオフの再実施や恒久的な解雇もあり、実体が見えにくくなっているという懸念も示されている。

[ウクライナ] 7月15日、ゼレンスキー大統領は中央銀行の新しい総裁に国内第4位のUkrgazbank銀のキリル・シェフチェンコ会長(48)を任命した。国会で承認された場合、7月1日に政治的圧力を理由に辞任したスモーリー前総裁の後任として就任する。シェフチェンコ氏は以前、スモーリー氏の金融政策はあまりにも保守的であると批判していたという。

[EU] 欧州議会の「市民の自由委員会」は、本日、「ポーランド政府による法の支配の明確な侵害に関する見解」を決定する予定。この結果を踏まえ、今年9月の欧州議会本会議で採決の予定。コロナウイルス復興基金案によると、ポーランドは総額64億ユーロ程度を受け取る見込みだが、欧州議会の承認が得られなければ資金供給に遅れが出ることから、コロナウイルス危機からの回復・復興に遅れることが予想される。

[エジプト/エチオピア] エチオピア政府は、建設中の大ルネッサンスダム(GERD)への貯水を開始したことを発表した。GERDは、完成すれば発電量がアフリカ最大となる巨大な水力発電ダムでエチオピアの国家プロジェクトであるが、ナイル川下流に位置するエジプトは、ダムへの急激な貯水は川の流量の減少を引き起こすとして調整を求めて繰り返しエチオピアと交渉してきたものの、アフリカ連合主催の先週末の会議も物別れに終わった。エチオピアが貯水を強行したことで、エジプト側からの強い反発が予想される。

[ボリビア] アニェス暫定大統領は今月7日に新型コロナウイルスに感染していることが明らかになったが、経済相、外相、鉱業相、厚生相、化石燃料相、大統領府担当相の6閣僚も感染が判明。アニェス暫定政権による政権運営に制約が加わるだけではなく、9月6日に予定されている大統領選挙、議会選挙を最低でも半年間再延期すべきではないかとの議論も再燃し始めており、ボリビアでの新型コロナウイルスの感染拡大は今後の政治日程にも影響を及ぼす可能性が浮上している。

[中国] 中国国家統計局が16日発表した第2四半期(4~6月)の実質GDP成長率は前年同期比3.2%増と、新型コロナウイルスの影響でマイナス成長となった前期から急回復し、2四半期ぶりにプラス成長に転じた。世界に先駆けて成長軌道へ戻ったことを裏付ける結果となったが、感染拡大の前の水準には及ばず力強さを欠く状況。同日発表の6月の工業生産は前年同月比4.8%増、6月の小売売上高は前年同月比1.8%減。1~6月の固定資産投資は前年同期比3.1%減。

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