デイリー・アップデート

2020年7月6日 (月)

[フィリピン] 7月3日、軍や警察など治安当局の権限を拡大する「反テロ法」が成立した。令状なしでの身体拘束がこれまでの最長3日間から14日間に延長される(さらに10日間の延長も可能となる)。テロの抑止につながる一方、人権抑圧につながるとの批判も出ている。

[イラン] 7月4日、イラン南西部のアフワズにある発電所で爆発が起きた。変圧器関連の事故とのことで、一時的に発電を止めたが負傷者等は出ていない。その数時間後、同じフゼスタン州内の石油化学工場でガス漏れ事件が発生し、約70人が不調を訴えている。イランでは先週のナタンツ核施設での爆発など、10日ほど前から重要施設とみられる場所での火災や爆発などが続発しており、イラン政府は米国やイスラエルによるサイバー攻撃を疑っているとみられる。

[米国] 市場関係者の間では、今秋の大統領選挙でバイデン前副大統領がトランプ再選を阻止して次期大統領に当選するだけではなく、連邦議会議員選挙でも改選後民主党が上下両院での多数党の立場を確保し、トランプ政権が推進してきた減税路線、各種規制緩和策、開発重視のエネルギー政策等が大幅に巻き戻されるとの見方が支配的になりつつある。CitiGroupのファンドマネジャー140名を対象にした最新四半期調査では回答者の62%が「バイデン勝利」と予測。

[世界] 7月1日、世界銀行は、2020~21年版の国・地域別の所得区分を発表した。低所得国、下位中所得国、上位中所得国、高所得国の4区分の定義基準となる所得額が、前年度版(2019~20年版)に比して各区分で引き上げられた。世銀は毎年、前年7月1日時点の1人当たり国民総所得(GNI)をもとに分類しているが、区分毎の基準は諸要因を勘案して毎年調整される。今回カテゴリーが昇格したのは7か国。その中で、アジア地域ではインドネシアが下位中所得国から上位中所得国、ネパールが低所得国から下位中所得国入りとなった。

[カザフスタン] 政府は、新型コロナウイルス感染拡大のため、7月5日から再び外出制限の適用を発表した。スポーツイベントや観客が集まる行事などが制限され、美容院や映画館、プールなどの営業が禁止されるほか、政府機関や国営企業などでは従業員の80%以上がテレワークを維持することになった。

[フランス] 7月3日にフィリップ内閣が総辞職したことを受け、マクロン大統領がカステックス氏を新首相に指名。6日に新閣僚が発表され、8日に新体制での初閣僚会合が行われる見込み。コロナウイルス危機対応を巡り、マクロン大統領とフィリップ前首相の関係が悪化していることが指摘されていた。カステックス首相はサルコジ元大統領の側近で仏南部の地方都市の市長を務めていたが、ほぼ無名の政治家とされる。

[中国] 深圳市税務局とテンセント(騰訊)が2018年に世に出した深圳の「ブロックチェーン電子領収書(発票)」は、7月5日に公表された深圳市長品質賞でサービス部門の金賞を授与された。中国ではいわゆる電子領収書は普及していたものの、偽造・改変・重複使用などの問題があり、これら問題をブロックチェーン技術で克服することが期待されているもよう。本年3月に北京市で、同7月に昆明市で初めて同領収書が発行されたとの報道があり、使用地域が徐々に拡大しつつある。中国での領収書の税務上の扱いは極めて厳格。

[中国] 中国と欧州を結ぶ貨物鉄道「中欧班列」が、2020年上期の貨物量の増量に中国西部のカザフスタンとの国境での積み替えが追い付かず、列車数を減らす措置をとった。新型コロナウイルス感染拡大後の航空便・船便の減少に伴い、鉄道利用が増えていた。例えば阿拉山口市では、今年2月の列車運行は1日5便だったのが、3月には倍以上に増え、最近では19便の日もあった。カザフスタンはロシアと同じ広軌を採用している一方、中国は標準軌であるため、国境で貨物の積み替えが必要になる。鉄道会社は荷主らに対し、国境での貨物停滞のため、輸送が予定時間内に完了できない旨の通知を送った。

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