デイリー・アップデート

2021年12月1日 (水)

[トルコ] 11月30日、エルドアン大統領がテレビインタビューで利下げの継続を発表したことで、米連邦準備制度理事会による利上げ前倒し観測も相まって、トルコリラは1ドル=13.7リラの過去最安値を記録した。トルコでは約20%のインフレが続いており、米国による利上げ観測を見越して各国が利上げに動く中、トルコは9月から既に4%の利下げを実施。9月以降通貨リラは28%下落している。エルドアン大統領は2023年の選挙を見据えて、国内経済を活性化させることで自身の支持率を上げるべく、利下げを支持している。

[米国] 11月29日、レモンド商務長官はミシガン州デトロイト近郊で開催されたデトロイト経済クラブ主催のイベントで半導体供給不足の影響に焦点を当てて講演した。同商務長官は最近の半導体供給不足を解消する観点からも米国内での半導体の製造・生産体制の再構築を図る条項が盛り込まれた「2021年米国技術革新・競争力法法案」(S.1260)」の速やかな成立の必要性を主張。同法案は今年6月に上院本会議で賛成多数で可決され、下院に送付されている。

[ユーロ圏] 欧州統計局(Eurostat)によると、11月の消費者物価指数(HICP)は前年同月比+4.9%となり、統計を遡及できる1997年以降で最も高い伸びとなった。エネルギー価格が+27.4%と上昇したことに加えて、その他の財が+2.4%、サービスが+2.7%と上昇したことも響いている。エネルギー価格の上昇、供給網のボトルネック、昨年のドイツの付加価値税減税の反動などが、物価の押し上げ要因となっている。

[ベラルーシ] 11月30日、ルカシェンコ大統領はロシア国営テレビ局のインタビューで、ロシアが2014年に一方的に併合したウクライナ南部のクリミア半島について「住民投票後、クリミアは事実上、また法律上もロシアの一部になった」と明言した。これまでロシアによるクリミア併合の承認を避けてきたが、欧米との激しい対立で方針を転換するもよう。

[中国] 11月30日、中国石油化工集団有限公司(シノペック)は、新疆ウイグル自治区庫車市で太陽光発電により水素を生産するグリーン水素モデルプロジェクトの立ち上げ式を行った。投資額は30億元(約530億円)で、30万kwの太陽光発電設備、水電解槽、水素貯蔵施設などを含む。水素は年産2万トンで建設中のプラント規模としては世界最大。2023年6月稼働予定。製品は、庫車市にあるシノペック子会社に送られ、化石エネルギー製の水素と置き換わり、年間48.5万トンのCO2排出削減に貢献する。シノペックは、現在年間390万トンの水素を生産する国内最大の企業。

[インド] 11月30日、2021年7-9月期(第2四半期)の実質GDP成長率が前年同期比+8.4%と発表された。前年同期の落ち込み(同▲7.4%)からの反動増と7月からの感染者数の低下に伴う活動制限の緩和による内需の回復で高い成長率を維持し、新型コロナウイルスの感染拡大前とほぼ同じ水準まで回復した。産業別では、貿易・ホテル・運輸・通信が同+8.2%、建設業が同+7.5%、製造業が同+5.5%と幅広い分野で回復がみられた。2021/22年度(2021年4月-22年3月)の実質GDP成長率に関するRBI(中央銀行)の予想は引き続き前年度比+9.5%。

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