デイリー・アップデート

2022年2月3日 (木)

[中南米] IMFは1月25日に「世界経済見通し」の改訂版を公表し、中南米地域の2022年の経済成長予測を昨年10月時点の+3%成長予測から0.6ポイント下方修正して+2.4%成長とし、前年2021年の+6.8%成長から大幅に減速すると予測。ペルー、チリでは財政支出策を柱とする経済政策を掲げる急進左派政権が誕生したが、今年5月にはコロンビアで、また、10月にはブラジルでそれぞれ大統領選挙が予定されており、経済状況の悪化の影響が政治にも波及する可能性が浮上している。

[インド] 2月1日、政府は2022年度の予算案を発表し、歳出総額を前年度比13%増の約39兆4千億ルピー(約60兆円)とした。財政赤字はGDP比6.4%と前年度の同6.9%から改善する見通し。新型コロナウイルスの影響で経済が停滞するなか、資本収支を大幅に増加し前年度比35%増の7.5兆ルピー(約11兆5,000億円)に引き上げ、インフラ投資で景気底上げを図る。GDPの3分の1を占める中小企業向け融資強化、中央銀行によるデジタル通貨の発行、気候変動問題にも対処する。

[欧州] EU統計局(Eurostat)によると、1月のユーロ圏の消費者物価指数(HICP)は前年同月比+5.1%となり、過去最高だった2021年12月の+5.0%よりも高い伸び率となった。ドイツの付加価値税減税の反動の影響が1月には剥落するため、物価上昇率は減速すると事前に予想されていたものの、サプライズ上昇となった。内訳をみると、食料品やエネルギー価格が前月よりも伸び幅を拡大させていたことが主因だった。なお、ドイツの物価上昇率は2か月連続で減速している。

[日/中] 株式会社JERAが北京市に「北京捷熱諮詢有限公司」(北京ジェラコンサルティング有限公司)を設立した。登記日:1月27日、資本金:1億900万円、(株)JERA100%、住所:北京市朝陽区。本年2Qの稼働を予定。「財新網」の報道によると、JERAは昨年9月、会社設立以来最大の投資事業として、フィリピンの電力会社であるAboitiz Power Corp.に15.8億ドル出資するなどアジア事業の展開を急いでおり、目下のところ中国で事業は行っていないが、関係者は「北京子会社の設立目的は天然ガスのバリューチェーンに関わるプロジェクトの開発だ」と述べている。

[中国] 中印国境でインド軍と中国軍の衝突(2020年6月)が起こった際に負傷した人民解放軍の連隊長が、北京冬季オリンピックの聖火ランナーに加えられたと報じられ、インドの一部メディアは不快感を示している。また、ドイツのショルツ首相は北京冬季五輪への出欠について長らく曖昧にしてきたが、2月2日夜、参加しない旨を発表した。他方、中国新華社は、習近平国家主席が米国のタコマ市とスティラコム市に対し、同市長らから受けたお祝いのメッセージに返信したと報じている。

[UAE] UAE国防省は、2月2日早朝にUAE空域に侵入したドローン3機を撃墜したと発表。1月17日に首都アブダビで3人が死亡したイエメンの武装勢力フーシ派によるドローン・ミサイル攻撃以降、24日、31日とフーシ派によるUAEに対する攻撃が続いたが、今回の攻撃に関してはイラクの武装集団が犯行声明を発表した模様で、UAEがイエメンやイラクなど地域諸国への干渉を止めないのであれば今後もUAEを攻撃するとの声明を出している。米国はUAEを支援するため、ミサイル駆逐艦や戦闘機などを派遣すると発表した。

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