デイリー・アップデート

2022年2月21日 (月)

[中国/ウクライナ] 2月19日、王毅外相は「ミュンヘン安全保障会議」でオンライン演説を行った際に、質問に答える形でウクライナ情勢についてコメントした。2015年の「ミンスク合意」を当事者は遵守すべきだとし、「各国の主権、独立、領土保全は尊重され、守られるべきで、ウクライナも例外ではない」と述べた。他方で、ロシアの安全保障上の懸念も尊重されるべきとし、「NATOの東方拡大は、欧州の平和と安定に寄与するのか?」と、ロシアに寄りそう姿勢も見せた。ロシアがウクライナ侵攻した場合の対応については、中国は黙秘を貫いている。

[エチオピア/エジプト/スーダン] エチオピアのアビィ首相はナイル川に建設中の大エチオピア・ルネッサンスダム(GERD)の水力発電の一部稼働を開始したと発表した。同ダムは完成すれば5,000MW級のアフリカ最大の水力発電ダムとなるが、今回稼働したのは一部のみ(375MW)。ナイル川下流に位置するエジプトやスーダンは、エチオピアに対し、3国の合意のもとにダムの貯水・運用を行うよう求めているが、エチオピアは主権の問題であるとして法的拘束力のある合意への署名を拒否している。国際社会やアフリカ連合の仲介もこれまでのところ功を奏していない。

[ウクライナ/米/ロ] ウクライナ情勢を巡る危機が高まる中、2月18日から20日までの3日間の日程で、ドイツ南部で民間団体主催の第58回ミュンヘン安全保障会議(MSC)が開催された。演説したウクライナのゼレンスキー大統領はロシアのウクライナ侵攻の予防的措置として侵攻前に対ロシア追加制裁を発動するよう欧州諸国の指導者に要請。これに対してハリス米副大統領は、ロシアを威嚇する目的で対ロシア追加制裁の発動をしないでおく方が抑止効果があるとの見解を表明。

[シンガポール] 2月18日、ローレンス・ウォン財務相は2022年度(2022年4月~2023年3月)予算案を発表。消費税(GST)、炭素税、個人所得税、法人税などの引き上げを打ち出した。増税を通して医療関連や高齢化のコスト負担増に充当する。消費税については、2023年1月に現行の7%から8%、2024年1月にさらに9%へと2段階で引き上げる。炭素税については、現行の炭素税率は二酸化炭素(CO2)排出量1トン当たり5シンガポール(S)ドルだが、2030年までに50~80Sドルまで引き上げるとしている。

[ウクライナ] 2月18日、ウクライナ東部の親ロシア派武装勢力は、ウクライナ政府軍が親ロシア派地域への侵攻を計画していると主張し、占領地域の住民をロシアに避難させると発表した。「ドネツク人民共和国」から約4万人が既にロシアに到着した。ロシアのプーチン大統領は18日、ウクライナ東部の親ロシア派支配地域からロシアに逃れた難民を保護すると発表し、1人当たり1万ルーブル(約1万5,000円)を支給するよう指示した。

記事のご利用について:当記事は、住友商事グローバルリサーチ株式会社(以下、「当社」)が信頼できると判断した情報に基づいて作成しており、作成にあたっては細心の注意を払っておりますが、当社及び住友商事グループは、その情報の正確性、完全性、信頼性、安全性等において、いかなる保証もいたしません。当記事は、情報提供を目的として作成されたものであり、投資その他何らかの行動を勧誘するものではありません。また、当記事は筆者の見解に基づき作成されたものであり、当社及び住友商事グループの統一された見解ではありません。当記事の全部または一部を著作権法で認められる範囲を超えて無断で利用することはご遠慮ください。なお、当社は、予告なしに当記事の変更・削除等を行うことがあります。当サイト内の記事のご利用についての詳細は「サイトのご利用について」をご確認ください。

17人が「いいね!」と言っています。