デイリー・アップデート

2022年7月5日 (火)

[アジア] 7月1日、S&Pグローバルは、アジア各国などの製造業購買管理者指数(PMI)を発表。ミャンマー、台湾で景況感の節目となる50を割ったものの、その他のアジア各国では回復傾向が続いている。中国は6月51.7と前月から3.6ポイント上回り4カ月ぶりに50を越えた。上海市や北京市で企業活動の再開が進み、生産、新規受注が急回復。中国国家統計局が6月30日に発表した6月のPMIも5月から0.6ポイント上昇の50.2と50を上回っており、官民の製造業PMIの方向性が一致した。

[日本] 厚生労働省『毎月勤労統計調査』によると、5月の名目賃金(現金給与総額)は前年比+1.0%となり、5か月連続のプラスだった。基本給(所定内給与)が+1.2%、残業代(所定外給与)が+5.5%と増加した一方で、ボーナス(特別に支払われた給与)が▲7.0%と5か月ぶりのマイナスになった。また、物価上昇の加速もあり、実質賃金は2か月連続のマイナスとなる▲1.8%だった。物価上昇に賃金上昇が追い付かず、実質的な購買力が低下している。

[アルゼンチン] 7月2日、グズマン経済大臣が辞任した。これまで2020年のデフォルト時の債務再編交渉や、今年のIMFとの債務再編交渉に尽力し、アルゼンチンの中でも穏健な経済政策をとっていたが、70%を超えるインフレや経済の低迷を受けて与党内部のキルチネル派からの反発が強まっていた。新大臣はよりクリスティーナ副大統領に近い左派寄りの人物となり、大衆迎合的な政策にもどることが懸念される。市場はデフォルトリスクが高まったとして、ペソが大幅に下落している。

[ウクライナ] 7月4日、ウクライナの復興について話し合う国際会議がスイス南部ルガーノで2日間の日程で始まった。ウクライナのシュミハリ首相は復興に必要な費用は7,500億ドル(約101兆円)に上るとの見方を示した。復興の資金源として、欧米などからの経済制裁で凍結されているロシア政府やプーチン政権に近い新興財閥「オリガルヒ」の資産を充てるべきだと訴えた。シュミハリ氏によると、こうした凍結資産は推定で3,000億~5,000億ドルに上るという。

[米国/中国] 米航空宇宙局(NASA)のネルソン長官は、独ビルトとのインタビュー(7/2付)で、中国の宇宙開発は軍事的なもので、他国から知識や技術を窃取してきたとし、中国が月から他国を締め出そうとするかもしれないと発言したことに対し、中国の趙立堅報道官は無責任な中傷だと非難した。ネルソン氏は独シュピーゲルとのインタビュー(7/4付)では、「中国との協力は大歓迎だが、これまでのところ中国は拒否している。中国は秘密主義で透明性がない」ともコメントしている。

[ウクライナ] Wall Street Journalとシカゴ大学全国世論調査センター(NORC)はウクライナの世論調査会社と協力してウクライナの成人合計1005人を対象にして携帯電話でのインタビューによる最新世論調査を6月9日から13日まで実施し、結果を6月29日に公表した。89%の回答者がロシアへの領土割譲による譲歩に反対すると回答し、ウクライナ領を割譲してロシアに譲歩することは受け入れられないとのゼレンスキー大統領の立場を圧倒的多数のウクライナ国民は支持しているもよう。

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