デイリー・アップデート

2022年7月15日 (金)

[アルゼンチン] 外貨の減少が止まらないアルゼンチンでは、新たな資本規制として、クレジットカードやデビットカードでドル建て商品を購入する際に適用される税金の税率を35%から45%に引き上げた。ペソへの大幅切り下げ圧力はますます高まるが、高騰するインフレをさらに加速させ、国民からの支持率低下につながる懸念から、政治的にもペソの切り下げには踏み切れていない。

[中国] 中国政府が大手ハイテク企業に対する締め付けの強化を初めてから、テンセントやバイトダンスは戦略投資部門を縮小したが、その影響が投資・買収の数字に反映されている。テンセントの昨年(2021年)上半期の投資・買収は129件であったのに対し、今年は32件にとどまった。バイトダンスの投資・買収件数は2021年上半期27件から、今年は9件に減少した。ロイター(7/14付)は、アリババグループも中国本土を拠点とする110人以上の戦略投資チームを約70人に削減する計画だと報じている。

[シンガポール] 7月14日、2022年4-6月期の実質GDP成長率(速報値)は前年同期比+4.8%だったと発表された。前期比では横ばいだった。製造業が+8.0%と堅調を維持し、宿泊・飲食・不動産分野が+8.2%と大幅に拡大した。同日、シンガポール金融通貨庁(MAS)が為替レートの政策バンドの中央値を実勢水準にシフトさせた。2021年10月、2022年1月、4月に続く4回連続の金融引き締めとなる。MASは物価上昇の見通しを理由として説明した。2022年のCPI上昇率の見通しを+5.0~+6.0%、コアインフレ率の見通しを+3.0~+4.0%として、従来の見通し(+4.5~+5.5%、+2.5~+3.5%)を上方修正した。

[米国] バイデン大統領は6月末にスペイン・マドリッドで開催されたNATO首脳会議でフィンランド、スウェーデン両国のNATO加盟を支持したトルコのエルドアン大統領に対して、トルコ側が昨年秋から米国に対して要請していたF-16戦闘機の新規供与等に対して支持を表明していたが、米議会からは供与に反対する動きが表面化している。超党派の下院議員18名は2023会計年度国防授権法案に「トルコがギリシャの安全保障を脅かさないよう」厳格な監視を義務付ける追加条項を付帯した。

[ロシア] 7月14日、プーチン大統領は100以上の改正法に署名した。その中でロシアの金や外貨準備に関するデータを今後非公開とする法令や、国内における報道活動制限の強化、国家安全保障関連の刑罰を強化するなどの非友好国・組織や制裁に対する報復措置とみられるものもある。ウクライナ侵攻のさらなる長期化を見据えて法整備が進められているもよう。

[中国] 7月13日、UBSアジア研究主管の汪涛氏が6月の貿易統計の分析と今後の予測を述べた。目立った論点は次の通り。◇6月の輸出は前年同期比17.9%増と予想以上の加速 ◇アセアン向け輸出が前年同期比29%増と大幅増(経済の回復を物語る) ◇コンピュータの輸出が過去2か月前年同期比マイナスから9.2%増に回復、但し、IT製品の輸出の伸びは需要減退に伴い今後は鈍化すると予測 ◇UBSは、通年の輸出を前年比8%増と予測(=下半期の伸び率は一桁台に鈍化)、通年の輸入8.5%増の予測は内需の弱さとコモディティ価格の下落を踏まえると下振れリスクあり。

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