デイリー・アップデート

2022年7月6日 (水)

[米国] トルコのエルドアン政権はフィンランド、スウェーデン両国のNATO加盟について、少数民族クルド人の武装勢力PKKを支援しているとして従来まで反対を表明していたが、NATO首脳会談の開催前日の6月28日に一転して支持に回った。バイデン大統領はトルコへのF-16の新規供与等を支持する方針を表明したが、ギリシャ問題議員連盟に所属する有力民主党議員らは連盟書簡をバイデン大統領宛に送付してF-16の新規供与等への反対姿勢を表明した。

[タイ] 7月5日、商業省は6月の消費者物価指数(CPI)が前年同月比+7.66%だったと発表。エネルギー価格の高騰と低水準だった前年同月からの反動で、伸びは14年ぶりの高水準に加速した。物価指数は予想を上回るペースで高まっている。2022年のインフレ目標は+1~3%だが、それをはるかに上回っている。そのため、8月の中央銀行の金融政策決定会合で利上げとなる公算が大きくなった。

[南アフリカ] ABSA/BER製造業PMIは5月の54.8から6月には52.2へと低下し、4月のクワズール・ナタール州の洪水による製造業生産高の急落からの回復が、6月には早くも鈍化したことを示唆している。洪水に加え第2四半期に電力供給不足が深刻化したことによる打撃を受けたものと考えられるが、足もとではさらに停電がステージ6(全8ステージ中、下から3番目)まで悪化しており、今後もさらにPMIが悪化していく可能性がある。

[トルコ] トルコ統計局は、6月のトルコのCPI(消費者物価指数)が前年同期比で+78.6%だったことを発表した。この数値は、1998年以来24年ぶりの高い水準。食料品価格が94%、運輸・交通費が123%の値上がりとなっており、変動の大きい食料品やエネルギー価格などを除いたコア指数でも+57.26%となっている。生活費の上昇を受けて、先週エルドアン大統領は7月から最低賃金を30%引き上げると発表。経済大臣は年末にはCPIが下がることを約束すると発表している。

[米国] 7月5日、イエレン財務長官は、中国の劉鶴副首相とバーチャル会談を実施した。米国側の発表によれば、米中両国のマクロ経済情勢や、コモディティ価格の上昇、食料危機に見舞われている世界経済の展望などについて意見を交わした模様。中国側は対中関税の撤廃を提起したと発表しているが、米国側では言及なし。対中301条関税の一部撤廃が取り沙汰される中、4年間の法定期間の期限切れを迎える同関税の扱いが注目される。

[中国] 7月5日、複数の市場調査機関が発表したところによると、2022年1~6月の土地市場(国有地使用権の取引市場)は需要・供給共に軟調で成約額は前年同期比で5割超減少した。易居研究院は、全国100都市の土地成約額が計1.13兆元で前期比50%減、前年同期比55%減、その内63都市を占める三、四線都市では前期比66%減、前年同期比64%減と発表。中指研究院は、全国300都市の土地の供給面積と成約面積がそれぞれ前年同期比44.3%減、55.6%減、成約面積は2009年以来同期間での最低水準だったと発表した。民間企業の土地取得意欲は低調で、中央・地方の国有企業が主な購入者となっている。

[中国] 中国の『証券日報』が、RCEPが今年(2022年)1月に発効して以降、中国国内における活用状況について報じている。2022年1~5月に中国の全国貿易促進システムが発行したRCEP原産地証明書は43,600件、証明書を取得した企業は累計1万社を超え、中国製品のRCEP加盟国における関税減免額は3100万ドルに達する見通し。輸出商品の分類では、主に衣料品と服飾品、有機化学品、プラスチックとその製品となっている。第2四半期の調査では、貿易企業の40.29%がRCEPについて理解していると答え、第1四半期より17.69ポイント増加した。

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