デイリー・アップデート

2022年7月4日 (月)

[欧州] 欧州統計局(Eurostat)によると、ユーロ圏の6月の消費者物価指数(HICP)は前年同月比+8.6%となり、比較可能な1997年以降で最高となった。エネルギー価格が+41.9%、食料品が+8.9%と物価上昇をけん引した。また、エネルギー以外の工業財は+4.3%、サービスは+3.4%と概ね5月並みの上昇となった。国別にみても、エストニアとリトアニアが+20%超を記録するなど、物価上昇が広がっている。5月よりも上昇率が縮小したのは、ドイツとオランダだった。

[ガーナ] ガーナはこれまでIMFからの援助は受けない方針を繰り返し主張していたが、その方針を大きく変えた。ナナ・アクフォ=アド大統領は就任以来、IMFと関わったドラマニ・マハマ前大統領を大きく批判し、自分たちの方がIMFよりも優れた経済運営をできると主張してきたものの、高インフレ、失業率の上昇、増税、緊縮財政、経済の悪化に対して、国民の反発が強まったことが背景にある。

[リビア] 7月1日、国民によるデモがトリポリやベンガジなどリビア各地で発生し、同国東部のトブルクに位置する代表議会も放火・襲撃された。酷暑の中での長時間にわたる停電や食料・燃料価格の値上げに対し、国民の政治家に対する不満が一気に爆発した。今年4月中旬以降、リビア国内東西勢力の政治抗争を理由に、同国内の原油関連施設が閉鎖され、同国の電力供給不足にも影響している。デモ隊は、昨年末以来延期されたままになっている大統領・議会選挙の実施を求めている。

[米国] バイデン政権は7月1日に8億2000万ドルの対ウクライナ追加軍事支援の実施を決定した。対ウクライナ追加軍事支援には高性能の地対空ミサイル・ロケットNASAMS 2基や対砲兵レーダー4基等が対象となっている。最近ロシアはウクライナの一般市民を標的にした攻撃を強めており、ウクライナの防空システムを強化することが今回の追加軍事支援の狙い。2月24日のロシアによるウクライナ侵攻以来、米国の対ウクライナ軍事支援の総額は約69億2000万ドルとなった。

[ウズベキスタン] ウズベキスタン西部のカラカルパクスタン自治共和国の首都ヌクスで7月1日、自治共和国の権限を縮小する条項を含んだ憲法改正に反対する数千人規模のデモが発生した。治安機関は7月2日にデモ隊を解散させ参加者の一部を拘束し、ミルジヨエフ大統領は同条項の撤回を決める一方、同自治共和国に3日から1カ月間の非常事態宣言を発令した。

[中国] 7月1日、中国東方航空、中国国際航空、中国南方航空がエアバス社の民間旅客機購入について相次いで発表(合計292機、総額372.57億ドル)、エアバス社の株価は3%以上上昇し、米ボーイングの株価は時間外取引で1.2%下落した。発表を受け、ボーイングの広報担当者は失望を表明、米中の地政学的な相違が米国の航空機輸出を制限しているとして、両国政府に対話促進を求めた。中国紙『環球時報』では、中国におけるエアバスの好調とボーイングの不調を比較しながら、ボーイングの製品と米国政府の政策に非があると論評している。

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