デイリー・アップデート

2026年3月26日 (木)

[アフリカ/燃油逼迫] 

ホルムズ海峡閉鎖の影響が、燃料の約7割を中東地域から輸入しているアフリカ諸国に余波をもたらしている。各種報道によると、3月23日、インド洋の島国・モーリシャスは重油の在庫が残り15~20日しかないことから、節電措置を設けると発表。産油国でありながら国内の精製容量に乏しい南スーダンも首都ジュバでの輪番停電を発表した。すでにエチオピアでは燃料補助金の引き上げと共に燃料の節約を国民に呼びかけている。ケニア政府は十分な在庫があるため消費者にパニック買いをしないよう呼びかけているが、3月24日時点で約20%のガソリン小売店で供給不足が生じていると報じられている(3月24日付、ロイター通信)。このほかにもウガンダ政府はディーゼルとガソリンの在庫は約20日分しかなく、代替供給ルートを計画していると発表。南アフリカ(南ア)は3週間程度の戦略的原油備蓄を有しているものの、国内の石油精製施設の容量低下により、4月からディーゼル価格が40%程度上昇するとの予測が広がるなど、アフリカ各地で混乱が広がっている。

 

背景にはアフリカはナイジェリア、アンゴラ、ガボンなどの産油国を有し、世界全体の原油生産量の約8%を占めながら、慢性的な域内での精製能力の不足により、ほぼすべての国で石油精製品を湾岸諸国はじめ域外から調達していることがある。さらに、アフリカ以外にもアジアでも燃料の緊急調達が必要となっている中、供給側は精製所に近い国への輸出を優先することから、アフリカはさらに調達が難しくなるとの見方もある(3月25日付、FT紙)。東アフリカのケニアは外貨を節約するために、アラブ首長国連邦(UAE)との間で長期の石油調達契約をするなど、主にインド洋に面する国々の中東へのエネルギー依存度の高さも影響の拡大に拍車をかけている。

 

そのような中で、地域のエネルギー安全保障上の「頼みの綱」として期待を一身に集めているのがナイジェリアだ。日量150~170万バレルの原油を産出するアフリカ最大の産油国であるナイジェリアは、国営企業による石油精製施設の老朽化・管理不足等により、過去10年以上にわたりほとんどの石油精製品を輸入に依存する状況が続き、これが対外収支の悪化や自国通貨安をもたらしていた。しかし、国内最大級のコングロマリット・ダンゴテ・グループが新設した日量65万バレルの精製施設が2月にフル稼働。ナイジェリア国内の燃料需要のほとんどを満たしているほか、余剰分を精製施設から近い西アフリカ諸国に輸出し始めている。同社は2028年までに米・ハネウェル社と共同で石油精製量を日量140万バレルまで拡張する計画を進めており、これが実現すればナイジェリアで生産される原油のほぼ全量を精製することが可能になり、さらに石油精製品のアフリカ域内への輸出余力が高まることとなる。また、ダンゴテ社は食料生産に欠かせない肥料(尿素)プラント(300万トン)も有しており、アフリカのエネルギー・食料供給の安定化の柱となりつつある。なお、2025年には三井化学(株)と包括的連携に関するMoUを締結しており、最新技術のアップデートにもぬかりがない。

 

Economist Intelligence Unitによると、2月28日の米・イスラエルによるイラン軍事作戦開始以来、ナイジェリアの通貨ナイラは▲0.2%と産油国のアンゴラ・クワンザ(0%)に次いでアフリカ諸国で下落幅が小さい通貨となっている(なお、エジプト・ポンドは▲8.3%、南ア・ランドは▲5.9%)。同社は国際的な原油価格が1バレル100ドル台の状況が続けば、ナイジェリアの経常収支をさらに改善させると評価しつつも、2027年に大統領選を控える中、歳出圧力も強まるため、同国の26年度の財政赤字は▲3%台となると予測。中東情勢が長期化すれば、リスク回避志向がさらに強まり、新興国通貨であるナイラが弱含みする可能性があるとしながらも、外貨準備高はすでにアフリカ域内最高レベルにあり(輸入の10か月分以上をカバー)、利回りも域内最高水準にある(政策金利は26.50%)ことから、資金の海外流出は起こりづらいとの見方を示している。アフリカ各国で動揺が広がる中、産油国であるだけではなく、その資源を活用して国内で石油・肥料精製容量に投資を行ってきたナイジェリアの強さが際立っている。

[オーストラリア/ガソリン不足が深刻化] 

Bloombergの記事によると、2026年3月24日、オーストラリアのボウエン・エネルギー相が、国内の600以上のガソリンスタンドで1種類以上の燃料が品切れ状態となっていると議会で述べた。特にシドニー、メルボルンが存在する南西部の州に集中しているもよう(Bloomberg、2026年3月25日付記事)。

 

オーストラリア石油協会が公表しているデータによると、ガソリンの小売価格は2026年2月末から3月第3週にかけて39%値上がりしている。

 

同国は2000年代初頭までは原油の純輸出国であったが、原油の埋蔵量減少に伴い純輸入国に転じた。石油製品についても純輸入国である。2000年代初頭には石油精製施設が国内に8か所存在し、国内の石油製品需要の約8割を供給していたが、海外との価格競争に勝てず閉鎖が進み、現在は国内に2か所(ブリスベンのリットン製油所とジーロング製油所)しか存在していない。

 

これら製油施設は国内需要の2割程度しか賄えないため、残りの8割は輸入で補完している。石油製品の湾岸諸国(サウジアラビア、UAE、クウェート、オマーン、カタール、イラク、イラン)への輸入依存度は3%以下と調達先の多角化が進んでいるが、他方で石油の最大輸入相手国である韓国が輸出規制を検討しているほか、第2位のシンガポールも原料となる原油の3分の2超を湾岸諸国から輸入していることから、石油製品の生産能力低下が懸念されるなど、2026年以降、同国への石油製品の供給途絶が懸念される。

 

石油の備蓄日数は49日分(純輸入額ベース)にとどまっており(国際エネルギー機関(IEA)データベース)、IEAによる基準(90日分)を大きく下回っているなど、今後の供給が危ぶまれている。

 

3月25日に公表された2月のインフレ率は3.7%と、1月の3.8%から低下はしたものの、イラン情勢を踏まえて今後上昇することが懸念される。3月18日に財務省が実施した試算では、原油価格が年前半に1バレル100ドルにて推移し、年後半に低下する場合、インフレ率は最大0.75ポイント押し上げられると推計している(ロイター通信、2026年3月18日付記事)。

 

3月17日、オーストラリア準備銀行(中銀)は、足元の財・サービス市場や労働市場の逼迫感を踏まえ、政策金利を25bps引き上げ、主要10か国(G10)の中で最高の4.10%とした。金融市場では2026年内に追加で25bpsの利上げを実施することが織り込まれているが、政策決定委員間での意見の対立もあり、利上げ時期については不透明である。燃料不足やエネルギー価格高騰が利上げ時期を早めかねない点には注意が必要である。

[中国コスコ/中東向け新規コンテナ予約再開] 

3月25日、中国の海運大手・中国遠洋海運集団(以下、COSCO)は、極東からアラブ首長国連邦(UAE)、サウジアラビア、バーレーン、カタール、クウェート、イラクなど湾岸諸国向けの新規コンテナ予約(通常コンテナ)の受け付けを再開すると発表した。米国・イスラエルとイランの戦闘を受け、イランがホルムズ海峡を封鎖したことから、同社は3月4日にこれらの国向け輸送を一時停止していた。

 

ただし、予約再開は船舶がホルムズ海峡を通過できることを意味するものではないと、中国誌『財新』は報じている。安全情勢が依然として不透明なため、当面は海峡を回避する代替ルートを採用する。具体的には、コンテナをオマーンのソハール港、UAEのホールファカン港・フジャイラ港、サウジアラビアのジッダ港などまで海上輸送し、その後、トラックなどの陸路で湾岸各国へ輸送する方式をとる。これは、フランスの海運大手CMA CGMが先に採用した方法と同様である。例えば、同社の超大型コンテナ船2隻は3月上旬にホルムズ海峡東側のオマーン湾に到着・待機しており、その後、ソハール港やフジャイラ港に寄港する予定となっている。

 

また、COSCOの船舶は現在、ペルシャ湾内で多数が滞留しており、30万トン級のVLCC(大型原油タンカー)3隻、11万トン級タンカー3隻、7万5,000トン級タンカー1隻、1万9,000TEU級コンテナ船2隻、7,200台積載可能な大型自動車運搬船のほか、数隻の雑貨船が湾内に留まっている。

 

船舶がホルムズ海峡を通過できる時期について、同社は「安全情勢を評価中」と説明している。関係者によれば、湾内で足止めされている中国籍船舶は、中国政府とイランとの協議の行方を注視しており、中国の交通当局が最終的に航行指針を示す見通しになっている。

[メキシコ/パナマ対中関連] 

中国政府は、メキシコが実施した関税引き上げを含む一連の貿易措置について、貿易および投資の障壁に該当すると指摘し、対抗措置を取る権利が中国にはあるとの立場を示した。中国商務省は、これらの措置に関する調査結果として、メキシコによる輸入関税の引き上げが中国の対メキシコ輸出に大きな影響を及ぼすと説明している。同省によれば、関税引き上げの影響を受ける中国の対メキシコ輸出額は300億米ドルを超え、特に機械・電気分野では約94億米ドルの損失が生じると推計されている。このうち約90億米ドルは、自動車および自動車部品産業によるものと見込まれている。中国税関の統計や業界の推計を基にすると、メキシコは近年、中国にとって最大の自動車輸出先の一つであり、関税引き上げの影響が同分野に集中する構図となっている。

 

メキシコ政府は12月、中国を含む自由貿易協定を締結していない国からの輸入品を対象に、ほとんどの製品で最大35%の関税引き上げを発表した。この措置は、中国製品に対して高関税政策を進めてきた米国への配慮、すなわち貿易摩擦を回避するための政治的判断だとされている。

 

現時点で中国は、具体的な報復関税などの対抗措置を発表していない。しかし中国商務省は、中国企業の正当な権利と利益を守るため、必要に応じて相応の措置を講じる可能性があるとの姿勢を繰り返し示している。

 

一方、パナマでは、運河両端のバルボア港およびクリストバル港の港湾運営をめぐる紛争において、香港のコングロマリットであるCKハッチソンの子会社が、パナマ政府への損害賠償請求額を20億米ドル超に拡大させた。約30年にわたり両ターミナルを運営してきたパナマ港湾会社(PPC)は、国際商工会議所(ICC)の仲裁規則に基づき、請求をおこなっている。同社は1か月前、パナマ当局が2つの港湾ターミナルと関連資産を違法に接収したと主張している。

 

運営権の取り消しの背景については、世界の海上貿易の約5%が通過するとされる戦略的なパナマ運河周辺で、中国の影響力を抑制するよう、米国がパナマに対して圧力を強めていたことが影響している。

 

この紛争はまた、CKハッチソンが進めている経営戦略にも影響を及ぼしている。同社は、ブラックロックおよび地中海航運会社(MSC)が主導するコンソーシアムに対し、グローバル港湾事業の過半数株式を約230億米ドルで売却する計画を示しているが、今回の法的問題により交渉が複雑化している。同社は今月(3月)、この取引について引き続き協議中であると説明している。

[日米英/インフレ懸念] 

米国とイスラエルによるイラン攻撃に伴って、原油価格が上昇するなど、今後の物価上昇率の拡大が懸念されている。

 

米国の労働省によると、2月の輸入物価指数は前月比+1.3%と、2022年3月以来の大幅に伸び率だった。3か月連続のプラスであり、1月は+0.6%と速報時点(+0.2%)から上方修正された。2月の内訳を見ると、輸入燃料が+3.8%と1月(▲1.2%)から上昇に転じ、2024年4月以来の大きさになった。燃料以外は+1.1%で1月(+0.8%)から加速した。輸入物価の上昇は今後、国内の消費者物価に波及する。連邦準備制度理事会(FRB)は当面、政策金利を据え置く可能性が高まっている。

 

英国の国立統計局(ONS)によると、2月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比+3.0%だった。上昇率は1月と同じだった。これまで原油価格が物価抑制の一因だったものの、足元の原油高から今後、上昇に転じると予想されている。イングランド銀行はイラン攻撃前まで、家庭用エネルギー料金などが改定される4月以降、物価上昇率が落ち着くと予想していた。しかし、足元の情勢などを踏まえると、物価の高止まりが継続するとみられる。

 

日本銀行によると、2月の企業向けサービス価格指数は前年同月比+2.7%だった。上昇率は1月(+2.6%)から小幅に拡大した。25年10月以降、+2.6~2.7%で推移しており、安定している。

 

内訳をみると、不動産(+2.4%)、道路旅客輸送(+3.5%)、海上旅客輸送(+4.5%)、外航貨物輸送(+9.7%)、国際航空貨物輸送(+7.1%)、航空施設管理・航空附帯サービス(+4.4%)など輸送関連の上昇が目立った。旅行サービス(+4.3%)やソフトウェア開発(+4.3%)、インターネット不随サービス(+2.3%)も伸び率が大きかった。また、諸サービスのうち、土木建築サービス(+5.9%)や建物サービス(+3.4%)、警備(+4.9%)、職業紹介サービス(+4.8%)、宿泊サービス(+8.5%)、給食サービス(+5.2%)など、人手不足が継続する産業の価格上昇が目立った。

[中東エネルギー施設の損害] 

中東での武力衝突がエネルギー供給に与えた影響は、ホルムズ海峡封鎖といった物流制約から、生産設備破壊による構造的な供給不足へと変質している。3月20日、QatarEnergyは、イランによる攻撃で被った被害について、LNGプラントの完全修復には3~5年を要し、年間損失は約200億ドルに達するとの見通しを示した。

 

LNGインフラの復旧が長期化する最大の理由はその技術的特性にある。LNG施設は▲162度の極低温下で可燃性の高いガスを扱うため、特殊合金や高度な断熱構造が不可欠であり、急激な温度変化を避けるため修復工程も必然的に長期化する。熱交換器・コンプレッサ・タービン・液化トレインの重量や大きさから、輸送自体に困難を伴う。

 

カタールに限らず、中東全域でエネルギー関連施設が損傷・停止に追い込まれている。Rystad Energyは、修復費用は少なくとも250億ドルに達し、さらに増加する可能性が高いが、問題は資金面以上に構造制約が大きいと指摘する。大型ガスタービンなど中核施設を供給できるメーカーは世界に数社しかなく、データセンターの電力需要増加などにより既に受注残が2~4年に達しているとされる。バーレーンでは巨額投資を終えたばかりの製油所が2度被弾し、投資回収が遅れる中での復旧作業に直面する。制裁下のイランでは、調達先が限定されることで、復旧の時間とコストが膨らむ。UAE(アラブ首長国連邦)・クウェート・イラク・サウジアラビアもそれぞれ中~軽度の損害を被っている。

 

こうした状況を踏まえると、世界のエネルギー需給構造への影響は必至。世界各国はエネルギーの輸入依存を低めるため、中長期的にエネルギーミックスの再度の見直しに迫られるといった論考も多い。

[ウクライナ・IMF/財政・税制改革] 

ウクライナでは、国際通貨基金(IMF)が求める財政・税制改革をめぐり、ゼレンスキー大統領と最高会議(議会)との対立が先鋭化している。IMFの要求には、小規模事業者へのVAT課税拡大、越境EC・郵便物への免税撤廃、デジタルプラットフォーム課税、公共料金の価格統制撤廃など、国民負担を伴う措置が含まれる。議会側は「国民に極めて不人気な改革の政治的責任を負いたくない」として法案承認に消極的で、IMF(約81億ドル)およびEUからの金融支援の実現が危ぶまれている。EUはそのほか、資金支援の条件として反汚職改革の加速(NABU・SAPO権限強化等)を求めているが、政府対応は遅れている。ゼレンスキー政権は、2025年の汚職スキャンダル以降、政権内部の統制力が低下し、与党内でも足並みが揃っていない状況が続いている。

[ハンガリー・ウクライナの対立] 

3月25日、ハンガリーのオルバン首相(親露・欧州懐疑派)は、隣国ウクライナへの天然ガスの供給を段階的に停止すると発表した。この決定は、ロシア産原油をハンガリーやスロバキアへ輸送する「ドルジバ・パイプライン」を巡る両国間の対立が背景にある。同パイプラインは、2026年1月下旬のロシアによる攻撃で損傷したとされており、稼働が停止している。オルバン首相は、ウクライナ側が原油供給を再開しない限り天然ガスの供給を停止し、自国の備蓄に回すと警告した。

 

この強硬姿勢の背景には、4月12日に控えるハンガリーの議会総選挙がある。オルバン首相は親EU派の対立候補マジャール氏に世論調査で約8ポイントのリードを許しており、劣勢に立たされている。同首相は、ウクライナからの「圧力や脅迫」に対して国境と経済を自ら防衛したと強調し、「自国のエネルギー安全保障を最優先に守る強い指導者」としての姿をアピールすることで、有権者の支持を挽回・獲得することを企図しているとされている。

 

ウクライナ外務省報道官は、十分なガス備蓄と代替の調達先を確保しており影響はないと主張している。一方、ウクライナの分析・コンサルタント会社ExProによれば、ウクライナは2025年に総輸入量の45%をハンガリーからの輸入に依存しており、完全な供給停止は大打撃となる可能性がある。

 

ハンガリーは、ウクライナに対する900億ユーロのEU支援パッケージを阻止する事態に発展しており、欧州委員会はパイプライン修復のための技術的・資金的支援を申し出ているが、解決のめどは立っていない。

[米・イランが互いに停戦条件を提示] 

米国とイスラエルによるイランへの軍事行動は続いている一方で、停戦に向けた外交努力も並行して進められている。しかし各国の主張は大きく食い違っており、交渉の行方は依然として極めて不透明である。米国側は軍事的目標の達成が目前にあるとし、イランが敗北を受け入れなければさらなる攻撃も辞さない姿勢を示す。トランプ大統領は交渉の進展を強調するが、イラン側は一貫して交渉の存在自体を否定している。

 

米国がパキスタン経由で提示した15項目の停戦案には、核開発やミサイル能力の制限、地域の代理勢力への支援停止などが盛り込まれているが、イランはこれを拒否したと報じられている。これに対しイランは、戦闘終結に向けた独自の5つの条件を提示しており、賠償金の支払い、ホルムズ海峡における主権の承認、代理勢力を含めた地域全体での戦闘終結などを求めている。こうした姿勢から、イランは交渉の主導権を握ろうとしているとみられる。またイスラエルはイランの軍事力壊滅を優先し、交渉の進展に強い警戒を示している。さらに、イランによる湾岸諸国への攻撃や、イスラエルによるレバノンへの攻撃も続いており、各地で被害も拡大している。

 

軍事面では、米国は中東への圧力を一段と強めており、第82空挺師団から少なくとも1,000人を派遣するなど増派を進めている。海兵隊と合わせた迅速対応部隊の集結により、作戦の選択肢は大きく広がっているが、現時点では大規模な地上戦ではなく、限定的かつ短期的な任務が想定されている。具体的には、ホルムズ海峡の再開通に向けた沿岸掃討、カーグ島の占領、さらにはイラン国内の核物質の確保などが検討されているとみられる。ただし、特にカーグ島の占領に関しては同島がイランの石油輸出の要衝であることから、広範な反撃を招き、事態を大きくエスカレートさせる可能性が高いと指摘する専門家もいる。

 

このように、米国の増派は軍事的圧力を高めると同時に交渉力の強化を狙った側面も持つが、その一方で、意図せぬ衝突の拡大や地域情勢のさらなる不安定化を招くリスクもはらんでいる。

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