デイリー・アップデート

2018年11月1日 (木)

[欧州] 10月のユーロ圏の消費者物価上昇率は前年同月比+2.2%となり、5か月連続でECBのインフレ目標を達成した。エネルギー価格の上昇が主因ではあるものの、サービス価格も+1.5%と底堅く推移している。ただし、国別にみると、エストニアやラトビアなどの物価上昇率が+3%超と高い一方で、イタリアなどが+2%を下回るなど、バラつきがみられる。年末にECBが資産買入れプログラムを終了させてようとしている中で、政治リスクが高まり、景気減速感も強まっており、金融政策のかじ取りが難しくなっている。

[フランス] フランスの2018年第3四半期のGDP成長率は、前期比+0.4%であった。第2四半期のGDP成長率同+0.2%から加速した。ただし、フランス銀行(中央銀行)の第3四半期成長率予測同+0.5%は下回った。第3四半期の成長率加速の理由は、消費支出が0.5%増加し、輸出の伸び(0.7%)が輸入の伸び(0.3%)を上回ったことである。

[ベネズエラ] 独裁体制を続け欧米諸国から経済制裁を受ける中、マドゥロ大統領は同様に強権化を進めるトルコのエルドアン大統領に接近。ベネズエラで採掘された金鉱石を従来のスイスではなくトルコに移送して同国で精製し、ベネズエラ中銀の資産として保有してきた。これに対し、米国政府は早ければ今週中にも、ベネズエラの金輸出に対する制裁導入を発表する見込みとWSJが報じている。

[メキシコ] ロペスオブラドール次期大統領が、国民投票結果を受けて首都新空港建設計画の中止を発表、今後は彼が選挙キャンペーン中に主張していた代替案を取り進める。当初計画を推す投資家及び野党連合はこの決定を厳しく非難するが、議会の大半を占める与党連合及び次期大統領は代替案を押し通す見込み。なお、次期大統領は今後も重要案件の決定に国民投票を活用すべく憲法改正を検討中。

[マレーシア] 10月31日、マハティール首相は、第4次産業革命のマレーシア版「インダストリー4WRD(フォワード)」を発表した。デジタル技術による製造業の高度化を目指す政策としては、ASEAN地域で先行しているタイの「タイランド4.0」やインドネシアの「メーキング・インドネシア4.0」に次いで3番目となる。「インダストリー4WRD」では、電子・電気、機械・設備、航空宇宙、医療分野を重点セクターとしている。

[チュニジア] 10月29日、首都チュニス中心部の目抜き通りであるハビブ・ブルギバ通りで、30代のチュニジア人女性による自爆テロが発生し、8人の警察官を含む9人が負傷。手製爆弾で警察車両を狙ったものとみられる。チュニジアでは2015~16年にバルドー美術館などを狙った複数回のテロで数十名が犠牲となったが、その後大きなテロ事件は発生していなかった。今回のテロ事件は、チュニジアの主要産業である観光業に打撃を与えることが懸念される。

[インド] 最近、インド準備銀行(中銀)と政府間の意見の相違が顕在化している。10月26日、アチャルヤ中銀副総裁が「中銀の独立性が脅かされる危険」を示唆。30日、ジャイトリー財務相が「不良債権問題の責任は中銀にある」と発言。31日、政府は中銀法が定める「中銀に指示を出せる権限」を発動したとの報道あり。ルピー安と不良債権問題が深刻視される中で不安要因になっている。

[カザフスタン] 国営エネルギー会社カズムナイガス(KazMunaiGaz、KMG)は、新規株式公開(IPO)を検討しており、近くロンドン証券取引所(LSE)または地元のカザフ証券取引所において株式20-25%を売却する予定。

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