デイリー・アップデート

2018年11月2日 (金)

[原油] 原油価格が前日比3%超の下落。ブレント原油は10月初めの高値からの下落幅が15ドルを超え、200日移動平均線を割り込んだ。ロシアの10月原油生産はソ連崩壊後最高の日量1,141万バレル、米国原油生産も8月に1,100万バレルを超え依然高水準、ブルームバーグによるとOPEC10月産油量は日量3,333万バレルと2016年以来の高水準。11月5日発動予定の米国の対イラン制裁では韓国・トルコ・インドに適用除外の観測も浮上しており、世界的に景況感も悪化する中、需給悪化への懸念が強まっている。

[メキシコ] 2018年第3四半期(Q3)のGDP成長率は前期比0.9%増だが前年比では緩やかなものに留まった。1次及び3次セクターが堅調な一方、2次セクターは緩やかな成長に留まった。Q3での加速はほぼQ2減速の反動増。次期大統領の経済政策の不確実性、政府の緊縮財政、中銀のインフレ対策などは経済成長の抑制要因。治安リスク、汚職リスク、大統領交代による政策変更リスクも高い。2018年の経済成長率予測値は前年比2.6%増。停滞理由は主に投資減少。2019年経済成長率の直近予測は1.9%増。

[台湾] 2020年の総統選挙の前哨戦とも言える統一地方選挙が、11月24日に迫っている。与党民進党は、前回のような、ヒマワリ学生運動の盛り上りや国民党の中国接近に対する民衆の危機感などの追い風がなく、蔡総統の支持率が20~30%に低迷していることもあり、苦戦しているもよう。民意調査センターの最新データでは、6直轄市の得票首位は、民進党2(4)、国民党3(1)、無所属1で、国民党有利の状況となっている。[注:()内は現職首長数。]

[パキスタン] 11月2日~5日に、カーン首相が初訪中を予定。財政支援を要請するとみられる。パキスタンはすでにIMFに支援を要請しており、11月7日にIMFの交渉団がパキスタン入りする予定。パキスタンは先月、サウジアラビアから60億ドルの支援を取り付けている。

[中国] 10月31日、中国共産党の最高意思決定機関である中央政治局常務委員会は、景気を支援して雇用、金融、対外貿易・投資を安定させるため、積極的な財政政策と穏健な金融政策を再確認した。また、海外からの投資を活用し、外国企業の利益を保護する方針も示した。11月1日には、経営が苦しい民間企業を支援するため、さらなる減税や資金面の支援などを行う方針を示した。

[米国] 10月のISM製造業景況感指数は57.7と、前月(59.8)、ならびに10月の市場予想を下回り、6か月ぶりの低水準となった。コメントをみると、コスト増への懸念がさらに強まっている様子がうかがえる。特に、関税による輸入コストの増加、トラック運転手不足による運賃の上昇などが主因。一部は販売価格への転嫁もみられるものの、依然として企業にとって重石となっている。

[ロシア/ウクライナ] 11月1日、ロシア政府は、ウクライナのポロシェンコ大統領の息子やティモシェンコ元首相らが保有するロシア国内の資産を凍結する制裁を発動した。ウクライナでは来年3月に大統領選を控えており、ロシアにはポロシェンコ政権や政界要人をけん制する狙いがありそうだ。

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