デイリー・アップデート

2020年8月31日 (月)

[日本] 経済産業省の「鉱工業生産指数」によると、7月の生産は前月比+8.0%と、2か月連続の増産となった。基調判断は「持ち直しの動き」へ上方修正された。内訳をみると、自動車工業や鉄鋼・非鉄金属工業などの増産が目立った。ただし、年初に比べて、依然として生産水準が低いままとなっている。その一方で、在庫は4か月連続で減少している。先行きについて、増産傾向が続くも、緩やかなものにとどまる見通し。

[中国] 8月28日、中国政府は「中国の輸出制限技術目録」の更新を発表した。2008年以来の改定で、事実上の技術輸出の規制強化。ハイテク技術のほか、医療・農業・化学技術などが対象。この規制により、北京字節跳動科技(バイトダンス)が米国で進めている”Tik Tok”ビジネスの売却交渉に問題が生じる可能性がある。リストに記載された技術の輸出については1か月前までに中国政府に申請し、さらに契約内容についても報告して許可を得る必要がある。トランプ大統領は買収交渉の期限を9月15日までと宣言している。

[UAE/イスラエル] 8月31日、イスラエルの使節と米国のクシュナー大統領上級顧問などを含む使節団を乗せたイスラエルからの直行便(エルアル航空971便)がUAEへ飛ぶ。これは両国間の初めての直行商業便となる。8月13日に国交正常化を発表した両国は、正常化に向けて着々と動き始めており、既に両国間の通信網は確立され、UAEではイスラエル・ボイコット法が廃止された。今後両国の間で、国交正常化に向けた詳細の詰めが行われ、9月にはワシントンで正式な調印式を実施する方向で動いている。

[米国] 民主、共和両党はそれぞれ全国党大会を終えたが、テレビ視聴率等の調査会社ニールセンはトランプ大統領の大統領候補指名受諾演説の平均視聴者数が2,380万人であったのに対してバイデン前副大統領は2,460万人であったと発表。2004年のジョージ・W. ブッシュ大統領以降5回の共和党大統領候補指名受諾演説のテレビ視聴者数で、トランプ大統領は最低を記録した。

[ベラルーシ] 8月30日、「ルカシェンコ大統領の6選は不正」などと抗議する大規模デモが首都ミンスクで3週連続して行われた。参加者は10万人以上とみられる。治安機関は政府庁舎前広場や主要街道を封鎖するなど過去2週に比べて警戒を強化し、行進を阻止した。内務省によると、140人が拘束された。

[EU] 8月27日から2日間かけて行われた非公式EU外相会合で、ベラルーシ高官などに対して制裁を発動するとする政治的な合意を発表。内容は、EU域内における資産凍結とEU域内への渡航禁止。現在20名程度の個人がリストに挙げられているが、今後増える可能性がある。一方、東地中海問題に関しては、トルコへの制裁準備をすることで一致した。9月24日のEUサミットで制裁発動に関する協議が行われる見込み。

[中国] HSMC(武漢弘芯半導体製造有限公司)が資金繰りの悪化で倒産の危機にあると、中国紙が報じた。同社は2017年設立。14nm(ナノメートル)プロセスのロジック半導体の月産6万個を目指し、当初は1,280億元(約2兆円)の投資規模と騒がれた。湖北省政府も重点プロジェクトとして資金を立替えていたが、資金支援の後続がなくなった。工場建屋の工事代金も払えず、業者の訴えにより口座も凍結され、従業員との雇用契約問題でも告訴されている。地方の半導体プロジェクトでは、本年7月、徳科碼(南京)半導体科技有限公司が倒産している。

記事のご利用について:当記事は、住友商事グローバルリサーチ株式会社(以下、「当社」)が信頼できると判断した情報に基づいて作成しており、作成にあたっては細心の注意を払っておりますが、当社及び住友商事グループは、その情報の正確性、完全性、信頼性、安全性等において、いかなる保証もいたしません。当記事は、情報提供を目的として作成されたものであり、投資その他何らかの行動を勧誘するものではありません。また、当記事は筆者の見解に基づき作成されたものであり、当社及び住友商事グループの統一された見解ではありません。当記事の全部または一部を著作権法で認められる範囲を超えて無断で利用することはご遠慮ください。なお、当社は、予告なしに当記事の変更・削除等を行うことがあります。当サイト内の記事のご利用についての詳細は「サイトのご利用について」をご確認ください。

16人が「いいね!」と言っています。