デイリー・アップデート

2021年8月10日 (火)

[インドネシア] 7月5日、国家中央統計局は、第2四半期の実質GDP成長率が前年同期比+7.1%だったと発表した。経済活動が新型コロナウイルスの影響を受けて以降では、最も高い伸び率となり第1四半期の同▲0.7%より回復したものの、前年同期の弱い実績の反動を考慮すると強い回復にはならなかった。民間消費の回復が弱く同+5.9%、投資と政府消費はそれぞれ同+7.5%、同+8.1%。最も好調だったのは輸出で同+31.8%。資源需要増が貢献した。

[米国] 労働省の雇用統計によると、7月の非農業部門雇用者数は94.3万人増加し、2か月連続で90万人増となった。失業率は5.4%と0.5pt低下した。幅広い産業で雇用者数が増加したものの、感染拡大前に比べて雇用者数はいまだに570.2万人少ない。また、雇用動態調査によると、6月の求人数は1,007.3万件と過去最高を記録した。労働需要が増加している一方で、足元では感染の再拡大もあり、雇用回復に対して懸念を払しょくし難い状況が続いている。

[米国] 8月9日、ブリンケン国務長官が演説を行い、国内投資を優先させることが米国外交を強化するとの認識を披歴した。教育やインフラといった分野の国内公共投資を進めることは、1) 国際産業競争力、2) 対外交渉力、3) 民主主義の強化につながり、それこそが米国の外交力強化に直結すると述べ、内政と外交の間に隔たりは無いと述べた。そして、中国だけが競争相手なのではなく、世界各国との競争に米国が後れを取ってはならないとも発言した。

[米国] 上院は7月14日に超党派法案の「ウイグル強制労働禁止法案」(S.65)を全会一致で可決し、下院に送付している。夏季休暇明けの9月以降、同法案の下院での審議が本格化するが、太陽エネルギー産業協会(SEIA)や米国アパレル・フットウェア協会(AAFA)といった米業界団体は、同法案に反対はしないものの自らの業界に不利にならないよう影響力を行使すべく米議会へのロビー活動を展開したり、新疆ウイグル自治区からの米国企業の撤退等を促す動きを示している。今後立法面からも対中圧力の強化は必至とみられる。

[中国] 中国国内の専門家の間から、新型コロナウイルスの「感染ゼロ」戦略の再考を求める声が上がる一方、元衛生部長(大臣)の高強氏は人民日報SNSに「ウイルスとの共存」は絶対に許容できないと寄稿し、中国国内で議論が起こっている。再考派は、感染者が出るたびに大規模検査を行いロックダウンを行うのはコストが高く、また国民の間に必要以上のパニックやストレスを引き起こしているとするのに対し、高氏は欧米における感染対策解除や緩和が第2、第3の感染の波を引き起こしていると批判・反駁している。

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