デイリー・アップデート

2021年8月18日 (水)

[中国] 8月17日、『第一財経』は、本年7月の住宅市場について、政府の金融・行政面での規制が奏功し、昨年後半から本年上半期にかけて続いた住宅市場の過熱が、明らかなターニングポイントを迎えたと報じた。主な根拠は、7月の全国の分譲住宅の販売面積と販売額が前月比それぞれ▲42%、▲40%と急減、主要70都市で新築住宅の価格が上昇した都市数が51都市(前月比4都市減)、中古住宅で41都市(同7都市減)と減少したことなど。本年下半期の住宅価格が引き続き下落傾向を維持するという、招商証券と中信証券の見方も伝えた。

[中国/香港] 8月17日から全国人民代表大会(全人代)常務委員会が開催され、複数の法律草案に関する審議が行われているが、今回は「反外国制裁法」を香港・マカオの基本法の付属文書3に加え、同法が香港でも適用されるようになると見られており、その影響が注視されている。『SCMP』紙は、香港の金融機関を非常に厳しい立場に追い込むという見方や、EUなどにおける同様の法律の運用からそれほど心配する必要はないという見方など、複数の意見を紹介している。

[アルゼンチン] アルゼンチンは北部諸州を中心に1944年以来最悪の干ばつに直面しており、ラプラタ川水系最大の川であり、同国にとり主要輸送ルートでもあるパラナ川の水位が大幅に低下し、穀物等を輸出する船舶の輸送コストが上昇している。同国は電力供給を水力発電に大きく依存しているため、パラナ川の水位低下は電力供給や生活水の安全な確保にも影響を及ぼしている。アルゼンチン国立水研究所(INA)はパラナ川の水位は今年11月まで低下し続けると予測している。

[タイ] 8月16日、国家経済社会開発委員会(NESDC)が発表した2021年第2四半期の実質GDP成長率は、前年同期比+7.5%だった。新型コロナウイルス感染拡大の影響で2020年第1四半期から続いていたマイナス成長から前期比でも+0.4%とプラスに転じた。観光や国内の消費は低迷している一方、輸出が堅調なことや政府による景気刺激策が奏功した模様。しかし、足元では、バンコクなどでロックダウンを実施しているにもかかわらず、4月からの感染拡大の「第3波」は収束していない状況。

[米国] FRBによると、7月の鉱工業生産指数は前月比+0.9%となり、5か月連続で増産傾向が維持された。前月に減産した自動車工業が増産に転じた影響などが大きかった。また、稼働率は前月から上昇して76.1%になった。一方、商務省によると、7月の小売売上高は前月比▲1.1%と減少した。自動車・部品やオンライン販売の減少が目立った。また、物価上昇や感染再拡大などが個人消費の重石になったという見方もある。

[EU] 8月18日に開かれた緊急EU外相会合でボレル上級代表は、アフガニスタン情勢をクリミアがロシアに奪われて以来、地政学的に最も重要な出来事と表現。アメリカやロシア、中国などと関与を強化することに言及。EU機関で働いていたアフガン人の避難のためにタリバン側と対話をすると発表したが、タリバン政権承認には言及していない。

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