デイリー・アップデート

2021年8月20日 (金)

[米国] タリバンが実権を掌握したアフガニスタンには、最大で1万5,000人の米国人と約6万5,000人の米国を支援してきたアフガン人が、現在も退避できずに現地に残されたままの状態にある。この混乱状態をもたらしたバイデン政権のアフガニスタン撤退計画には米国内でも批判が高まっており、政権は迅速な対応を求められている。

[ミャンマー] 8月18日付の現地報道によると、中央銀行は通貨を増発するとの市中の観測を否定した。軍政は、2月のクーデター以降、市民が国軍の財源となる公共料金などの納付を拒否しているため、多くの財源を失っている。軍政が通貨増発で財政赤字を補填するとの見方が広がり、さらなるインフレの加速も懸念されていたが、中銀のウィン・タウ副総裁はこれを否定。財政支出を抑制しているなどと説明した。

[日本] 総務省『消費者物価指数』によると、7月の消費者物価指数(総合)は前年同月比▲0.3%となり、6月の▲0.5%からマイナス幅が縮小した。通信料(携帯電話)が▲39.6%と低下し、その寄与度が▲1.09ptと大きい。また、生鮮食品を除く総合は▲0.2%となり、前月の▲0.5%からマイナス幅が縮小した。なお、今月から2020年基準に移行しており、比較可能な6月の総合は▲0.7pt下方改定されたものの、通信料(携帯電話)のウェイトとモデル式の変更の影響が大きかった。

[中/露] ロシア極東地方と中国東北部の国境を流れるアムール川(中国名・黒竜江)に架かる国際鉄道橋が今年中に開通する見通しとなった。2022年から本格的な運行を始める予定。これまで夏は船で、冬は凍結した川に仮設の橋を設けてトラックで物資を運んできたが、隣り合う中国との経済関係が深まる中、ロシア側には架橋をきっかけとして天然資源などの輸出拡大につなげる狙いがある。

[英国] 8月18日に開かれた議会で、ジョンソン首相が米軍のアフガニスタン撤退決定に従う以外の選択肢がなかったと発表。G7議長として近日中にG7首脳会合開催を目指しており、国際社会が団結できるよう努力することに言及した。しかし、英国政府の対応を批判する見解が多いほか、メイ前首相は英国が米国の諜報活動への依存を低減させることを提案した。

[米国] 8月20日、ハリス副大統領はシンガポール・ベトナム訪問の為、ワシントンを出発する。22日から外交日程をこなし、26日には帰途に就く予定。当初は、地域安全保障・コロナ対策・気候変動対策などがアジェンダとして挙げられていたが、カブール陥落を受け、米国の同盟関係に対するコミットメントやアジア関与を巡る副大統領の発言が注目される。ワシントンでは、19日にブリンケン国務長官がG7各国外相と、18日にはバイデン大統領がメルケル独首相と、アフガニスタン情勢について協議を行っている。

[中国] 8月19日付「財新網」は、中国・台湾合弁の古雷石油精製プラント(福建省漳州市、エチレン年産100万トン、スチレン同60万トンなど)の稼働開始と、併せて国内のエチレン生産について以下の通り報じた。◇国内のエチレン年産能力は、2015年の2,200万トンから2020年には3,518万トン(世界二位)に約6割増 ◇生産能力シェアは中国石化が国内の36%で一位、中国石油・中国海洋石油を加えた3社合計で57% ◇2021年はプラントの稼働が1,010万トン増え、前年末比約3割増 ◇石炭によるエチレン製造プロセスの部分は、CO2排出規制により一定の制約を受ける見込み。

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