デイリー・アップデート

2021年8月12日 (木)

[ブラジル] ボルソナロ大統領は、最近ブラジルの選挙で導入されている電子投票システムは不正を招くとして電子投票結果を確認できるよう電子投票記録を印字にするよう求めるとともに、万一現行の選挙制度が変更されない場合、2022年大統領選挙結果を受け入れない意向を表明した。だが、ボルソナロ大統領が支持する選挙制度改正を規定した憲法修正条項案は、8月10日にブラジル国会下院本会議で採決が行われたものの、成立に必要な5分の3の支持を確保できず否決されている。

[米国] 労働省によると、7月の消費者物価指数は前年同月比5.4%上昇した。6月と同じ上昇率であり、約13年ぶりの高水準が継続した。食品とエネルギーを除くコア指数は4.3%上昇となり、6月の4.5%上昇から鈍化した。引き続き中古車・トラックや輸送サービス、エネルギーなどの上昇が目立った。前年の反動で上昇する効果も弱くなり、物価の上昇ペースは鈍くなりつつある。FRBの見通しのように物価動向が落ち着くのかが注目される。

[中国] 8月11日、中国共産党中央委員会と国務院は「法治政府建設実施綱要(2021-2025年)」を発表し、行政や経済の大部分に対する規制を強化する方針を示した。「互聯網+」(インターネットプラス:インターネット技術と諸産業の連携により産業発展の推進を目指す中国版DX)に関する管理強化やより踏み込んだ法執行の推進なども書き込まれている。大手IT企業や学習塾に対する規制強化が中国経済の先行きに影を落とす中、今回の発表は投資家の懸念をさらに強める可能性があるとブルームバーグは報じている。

[イラン] ライーシ新大統領が新政権の閣僚名簿を議会に提出。外務大臣にはアラビア語話者でアラブ・アフリカ担当の元外務次官であるアブドラヒアン氏、石油大臣にはオウジ元石油次官など、キャリア官僚を指名した。ただ、名簿には革命防衛隊の元高官やハメネイ最高指導者に近い人物、アフマディネジャド政権の関係者などの名前が多く、外交・内政ともに強硬姿勢がうかがえる人選となっている。同閣僚名簿は8月14日に再開する議会によって承認を受ける必要がある。

[米国] 8月11日、上院は3.5兆ドル規模の予算決議を可決した。賛成50票、反対49票で、完全に党派ラインで割れた採決となった。先に可決された1.2兆ドルのインフラ整備法案が道路、空港、ブロードバンド網などの建設、補修を盛り込んだものである一方、当予算決議には、気候変動対策、教育拡充や社会政策などが盛り込まれている。当予算決議は歳出の大枠を決めるのみであり、具体的な歳出法案は9月15日までに各委員会にて作成される。また、既に夏季休会に入っている下院も8月23日には審議を再開し、当予算決議の可決を目指す。

[中/露] 中国の人民解放軍とロシア軍は、8月13日までの日程で、中国内陸部の寧夏回族自治区において、テロ対策を目的とした合同軍事演習を開始したと発表した。総勢1万人以上の部隊が参加する今回の軍事演習「西部・合同2021」は、主に早期警戒と偵察、電子戦、共同攻撃に重点を置いたものになる。両国は軍事的な連携を強調することで、米国などをけん制するねらいがあるとみられる。

[英国/ベラルーシ] 8月9日、英国政府はベラルーシに対し、貿易・金融・航空分野で制裁措置を発動したことを発表。ベラルーシの航空会社による英国への離着陸禁止、炭酸カリウム・石油製品などに対する貿易制限措置、ベラルーシ国債購入などを禁止する内容。EUは新たな制裁を発動していないが、同問題に関し近日中に閣僚会合を開く予定。

[中国] 美容整形業界が政府・メディアからの強い批判にさらされている。8月9日付人民日報は、「美容整形:最高の効果は必要だが、悪い結果は防がねばならない」という記事で、業界の混乱や虚偽広告、詐欺行為などに対する当局の管理強化を訴えた一方、8月11日、国家薬品監督管理局は、皮膚の角質を除去する「ケミカルピーリング」について副作用の可能性と施術には医療資格が必要である旨を示した。同日、国内と香港の証券取引市場では、美容整形業界関連株が軒並み下落した。同業界は、元々問題が多く、本年6月には当局による年内の取り締まりが決定されていた。

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