デイリー・アップデート

2022年8月5日 (金)

[日本] 厚生労働省『毎月勤労統計調査』によると、6月の名目賃金は前年同月比2.2%と上昇した。1月以降前年比プラスが継続している。内訳をみると、基本給(所定内給与)が+1.3%、残業代(所定外給与)が+5.8%、ボーナスなど(特別に支払われた給与)が+3.1%増加した。ただし、一方で物価上昇の影響が大きく、実感に近い消費者物価指数(帰属家賃を除く総合)で実質化すると、同▲0.4%と3か月連続で前年割れとなり、購買力が低下している。

[ケニア] 8月9日に大統領選挙が行われる予定だが、現在、ウィリアム・ルト副大統領(統一民主同盟)と野党指導者レーラ・オディンガ(オレンジ民主運動)が僅差で争っている状況。どちらが勝っても現政策の継続性が期待できるものの、大統領就任が遅れれば(決戦投票、司法調査などで最長で12月までもつれ込む可能性)、経済的にはマイナスになると思われる。

[アルメニア/アゼルバイジャン] 8月3日、アゼルバイジャンは係争地ナゴルノカラバフの周辺でアルメニア軍による攻撃を抑え込んだと表明した。一方、アルメニアはアゼル軍から攻撃があったと強調し、双方が停戦合意を破ったと非難する事態となり、再び緊張が高まっている。8月5日、停戦を仲介してきたロシアとトルコの首脳はロシアのソチで会談を行う予定で、ナゴルノカラバフ問題についても議論されると注目されている。

[日本/中国] 台湾周辺で中国が実施している軍事演習で、日本の排他的経済水域(EEZ)内に弾道ミサイル5発が落下したことに対し、岸防衛大臣は「わが国の安全保障および国民の安全に関わる重大な問題」と中国側に抗議した。それに対し、中国外交部の華春螢報道官は「日中両国はまだ関連水域の境界を確定していないことから、中国は日本の主張するEEZを認めない」とコメントした。EEZに関する日本と台湾の主張との違いを指すものと推測され、中国側の新しい動きとして注目されている。

[トルコ] トルコ統計局は、7月の消費者物価指数(CPI)が前年同期比+79.6%だったことを発表した。通貨リラ安と世界的な商品・エネルギー価格の上昇が影響し、1998年以来24年ぶりの高水準となった。前月比でも+2.37%の上昇。同月の生産者物価指数(PPI)は前年同期比+144.6%。為替は1ドル=17.95リラ辺りで推移している。世界各国がインフレ抑制のために利上げに動いているが、トルコ中央銀行は今年に入って7か月連続で政策金利(14%)を据え置いており、実質金利はマイナス65.6%となっている。

[米国] 米財務省は8月2日にオリガルヒなどのロシア人エリートに対する対ロシア追加経済制裁を発動したが、プーチン大統領と長年愛人関係にあると見られている元新体操選手のアリーナ・カバエバの資産を凍結し、制裁リストに追加した。米国務省も査証を凍結した。カバエバは現在ロシア国営のメディア企業の会長に就任しており、当該メディア企業はロシアのウクライナ侵攻をロシア国民に対して正当性を訴える点で主導的役割を担っているとしてカバエバを対象に制裁を発動したもの。

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