デイリー・アップデート

2018年10月11日 (木)

[気象] ここ数週間で海面温度は平均よりも暖かく太平洋の貿易風も弱くなっており、2018年末にかけてエルニーニョ発生の可能性が高まってきている。米国立海洋大気局は2018年12月から2019年2月にかけてのエルニーニョ発生の確率は75%と推定している他、オーストラリア気象局でも通常の3倍の確率としている。ただし、海水温の上昇幅は平均気温比で+0.8度程度に留まり、影響は限定的になると予測されている。

[パキスタン] 同国は経常・財政とも赤字を抱え、外貨準備は今年40%減少して約4年ぶりの低水準にあることなどから、国内経済の安定と財政赤字の減少を期して、カーン首相がIMFからの支援要請に向けた協議開始を決断した模様。また、昨年12月以降、通貨ルピーを4回切り下げている。ウマル財務相が今週バリで開催されるIMF年次総会でIMF当局者と協議する見込み。同国のIMFへの支援要請は、1980年代後半以降では13回目になる。

[日本] 日本工作機械工業会によると、9月の工作機械受注額(速報)は前年同月比+2.8%となった。内訳は内需向けが同+5.1%、外需向けが同+1.2%となった。外需は8月に21か月ぶりに前年割れとなっていたものの、そこから回復した。米中貿易摩擦や中国経済の減速への懸念などがあるものの、足もとの受注は底堅く推移しており、当面生産は維持される見込み。

[欧州] ユーロ圏の製造業PMIは8月の54.6ポイントから9月の53.2ポイントに低下した。これは2016年11月以来、最低の水準となっている。ただ、2017年の景気自体は非常に良く、PMIの水準が高かったので、2018年に入ってPMIが鈍化したにもかかわらず、PMIからみた欧州の景気は61ヶ月間連続で拡張している。貿易摩擦とBrexitに起因する困難な状況は7月から続き、新規受注やビジネスマインド・先行きへの期待は非常に低いので、EUの成長ペースはまだ加速はしていない。

[フィリピン] 10月9日、ドゥテルテ大統領のがんの検査報告が陰性だったと発表された。同大統領は万一結果が陽性でがんのステージ3であれば「治療はしない」と述べていた。同大統領は73歳で健康不安が指摘されたことがある。

[サウジアラビア] 今年3月にサウジのムハンマド皇太子はソフトバンクの孫社長とともに、2030年までに200ギガワットの太陽光発電プロジェクト(現在の世界の太陽光発電全量の3分の2の規模)を実施する計画を発表していたが、9月30日付け米WSJ紙が、プロジェクトは一旦棚上げされたことを報じた(ソフトバンク側は棚上げを否定)。アラムコのIPOに関しても一旦中止/延期が報じられるなど、再生可能エネルギープロジェクトやメガプロジェクト実現の難しさが露呈している。

記事のご利用について:当記事は、住友商事グローバルリサーチ株式会社(以下、「当社」)が信頼できると判断した情報に基づいて作成しており、作成にあたっては細心の注意を払っておりますが、当社及び住友商事グループは、その情報の正確性、完全性、信頼性、安全性等において、いかなる保証もいたしません。当記事は、情報提供を目的として作成されたものであり、投資その他何らかの行動を勧誘するものではありません。また、当記事は筆者の見解に基づき作成されたものであり、当社及び住友商事グループの統一された見解ではありません。当記事の全部または一部を著作権法で認められる範囲を超えて無断で利用することはご遠慮ください。なお、当社は、予告なしに当記事の変更・削除等を行うことがあります。当サイト内の記事のご利用についての詳細は「サイトのご利用について」をご確認ください。

16人が「いいね!」と言っています。