デイリー・アップデート

2018年10月25日 (木)

[米国] FRBの地区連銀経済報告によると、米国経済は引き続き緩やかに拡大している。一方で、関税に起因する原材料価格の上昇や、労働需給の逼迫による賃金上昇、ガソリン価格上昇による輸送コストの上昇などが、米企業の重石になりつつある様子がうかがえる。また、貿易戦争を巡る不確実性や、人材確保の困難さなど、供給制約も見えつつある。景気の堅調さの背景で、米経済の課題も大きくなっているようだ。

[鉄鋼・アルミ] 国際アルミ協会が発表した月次生産統計によると1-9月の世界生産は前年比わずか0.9%の伸び。カナダとブラジルの製錬所の生産障害が米国の設備再稼働やインドの設備新設による増産を相殺。また原料のアルミナやエネルギー価格の高騰も逆風に。欧州ではAlcoaがスペインでリストラを発表、ボスニアやRusalのスウェーデンの製錬所も苦境にある一方、中国の輸出は減っていない。鉄鋼に関しては欧州鉄鋼協会が米関税の影響による輸入増と域内需要減で域内メーカーの事業が脅かされていると指摘。

[砂糖] 砂糖価格は10月に入り急騰し、9月の¢10/ポンド割れの水準から足元で¢14/ポンドまで回復している。主要生産地のブラジルにおいて生産が大きく減少することが見込まれていることに加え、ブラジルレアルの増価もその要因で、先物で大きく売り越していたファンド勢も買いに転じている。

[ロシア] 10月23日、ロシア下院は2019年度予算及び2020年-21年度の計画予算案を第一審議会で承認した。原油価格の上昇により今後の3年間は財政黒字が続くとし、社会保障費やインフラ開発への支出が拡大する見込みである。

[ギリシャ] 今月26日にキプロス島問題に関する交渉を再開する予定のギリシャとトルコの関係が悪化。ギリシャの外務大臣がエーゲ海におけるギリシャ領土の拡大に言及したため。両国の国境は1923年のローザンヌ条約によって画定しており、欧州委員会はその条約維持を要請。

[パキスタン] サウジ人記者殺害事件によりサウジが国際的な批判を浴びる中で、10月23日、カーン首相はサウジがリヤドで開催した国際経済投資会議「フューチャー・インベストメント・イニシアチブ」に出席。同日付の声明でパキスタン外務省はサウジから60億ドルの経済支援(30億ドルの融資と30億ドルの原油代金支払いの延期)を受けることで合意したと発表。カーン首相は11月3日に中国を初訪問する予定。

[ミャンマー] EUはミャンマーに適用する一般特恵関税制度(GSP)の停止、つまり事実上の経済制裁を検討しているが、投資企業管理局(DICA)は、EUからの投資はそれほど大きくないため外国投資全体への影響を楽観視しているもよう。しかし、縫製業協会(MGMA)によると、EU向けの輸出の約7割は縫製品で占められるため、縫製業関係者は懸念を示している。

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