デイリー・アップデート

2018年10月15日 (月)

[IEA] 10月月報のタイトルは「Twin Peaks」。これは2018年4Qに原油が世界生産・需要ともに日量1億バレルという歴史的な大台に達する見通しのため。だがこの大台は、生産余力(spare capacity)を犠牲にして成り立ったものであり、足元の生産余力は世界需要のわずか2%しかないとIEAは指摘。イランの輸出減といった供給リスクと低い生産余力を考慮すると、原油価格は高止まりで推移すると予想している。なお、原油高が世界の経済成長にとって脅威になっているとし、2018・19年の石油需要見通しを下方修正した。

[ドイツ] 10月14日に行われたバイエルン州議会選挙の出口調査による予想得票率では、与党CSUが35.5%で過去最低を記録。第1党にはとどまったが、単独過半数は取れず歴史的大敗。メルケル首相の求心力低下が明白となった。一方、極右「ドイツのための選択肢(AfD)」を選挙前予想を下回る11%に抑え、18.5%の予想得票率で第2党となったのが「90年連合・緑の党」。

[パキスタン] 10月11日、ウマル財務相はIMFに正式に支援要請を行ったと発表。同日、IMFのラガルド総裁も支援要請を受けたと発表した。同総裁はパキスタンに「完全な透明性」を要求すると述べている。対中国債務の詳細の開示やCPECプロジェクトに与える影響が注目される。

[日本] 米商品先物取引委員会(CFTC)のIMM通貨先物の非商業部門(いわゆる投機筋)の取り組み(10月9日の週)で、円はドルに対して11.5万枚の売り越しと、前週(11.4万枚)から拡大していた。しかし、世界的に株価が下落する中で、ポジション調整の円買いは限定的だった。日米物品貿易協定(TAG)などで為替条項を巡る議論が出てくる中でも、米ドル相場は底堅く推移している。米国の堅調な景気、利上げ観測などが支えになっているようだ。

[フランス] 10月9日に「企業の成長・構造転換のための行動計画(PACTE)」という新法案が国民議会で承認された。同法案の第55条によると、外国企業から保護する対象となる特定産業セクターの数と制裁金額が上昇する。2019年から半導体デバイス製造、宇宙産業、無人機、AI、コンピュータセキュリティ、ロボット工学等を対象に、外国直接投資は制限される見込み。違反企業への制裁罰金は外国企業の年間収入の10%にのぼる。

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