デイリー・アップデート

2018年10月30日 (火)

[ジョージア] 10月28日、旧ソ連構成国である南カフカスのジョージア(グルジア)で、マルグベラシビリ大統領の任期満了に伴う大統領選挙が投開票された。得票率で過半数に届く候補はいなかったため、12月2日までに上位2人による決選投票が実施される。開票率99.6%の段階で、無所属のズラビシビリ元外相が得票率38.7%で首位、これを野党「統一国民運動」のワシャゼ候補が同37.7%で追う接戦となった。

[イラク] 22の閣僚ポストのうち14人の閣僚指名に対し議会の承認を得ることができ、アブドゥルマハディー新首相が正式に誕生した。選挙は5月12日に実施されたので、選挙から半年弱での組閣となった。新首相は大きな政治ブロックの出身者ではないため政治・経済改革はあまり進まないと予想されるが、新首相はクルド自治政府との関係が良く、中央政府とクルド自治政府の原油取引に関する交渉は進展すると考えられる

[中国/米国・カナダ・メキシコ] 9月末に13か月以上続いたNAFTA再交渉、つまりUSMCAが暫定合意に達し、11月末に署名、2019年後半に発効の予定。その中には米国が非市場経済国としている中国にとって不都合な条項が含まれている。すなわち、米国、カナダ、メキシコの3カ国のいずれかが非市場経済国と自由貿易協定(FTA)を締結した場合、残り2カ国は6か月後にUSMCAを離脱し2国間協定を締結することができるとされ、非市場経済国とFTA交渉を開始する場合、3か月前に他の2カ国へ通知する義務も課されている。

[米国] 9月のPCE(個人消費支出)デフレータは前年同月比+2.0%となった。3月以降、7か月連続でFRBのインフレ目標(2%)を達成していることになる。また、財価格が同+0.3%と弱含む中でも、サービス価格が同+2.7%となっており、物価上昇トレンドの底堅さが確認できる。これは、物価面からは12月利上げをサポートする内容である。ただし、株価下落など金融市場の動揺が広がっていることから、利上げによる悪影響が懸念される段階になっているようだ。

[ブラジル] 10月28日のブラジル大統領選でボルソナーロ氏が当選したが、同氏はこれまでの政権が推進していた外資の呼び込みと石油ガス生産増を踏襲する可能性が高い。10月初旬にボルソナーロ氏が提示した経済政策には、石油産業の国内調達比率の段階的な引き下げ、非在来型鉱区の探査・開発に関するインセンティブ、小規模企業へのインセンティブ、天然ガス市場の自由化などが盛り込まれていた。また国営石油会社Petrobrasの立場については引き続き変更ないものの、同社が抱える子会社のうち市場占有率が高い精製・卸売・物流・輸送会社の売却にも言及されていた。

[アルゼンチン] 8月の小売売上高は前年比2.6%減。化粧品、医薬品、玩具、衣料品、書籍の販売は好調だったが、消費者信頼感は前年比23.9%減と急落。高まる失業率とインフレ率、下落する消費者信頼感など悪化する国内環境は今後も小売売上高を押し下げ、個人消費は2018年1.3%減、2019年3.8%減、経済全体は2018年2.3%減、2019年1.7%減とそれぞれ予測されている。予想以上の不況となった場合、貿易関係の強い近隣諸国への悪影響に加え、域内資本が流出する可能性もある。

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