デイリー・アップデート

2018年10月31日 (水)

[TPP11] 10月31日、事務局であるニュージーランドのパーカー貿易・輸出振興相が記者会見で、環太平洋経済連携協定(TPP)参加11カ国の協定であるTPP11が12月30日に発効すると発表した。発効には6カ国の国内手続きが必要だが、6カ国目となるオーストラリアが10月31日、手続き終了をニュージーランドに通知した。残る5カ国はベトナム、ペルー、チリ、ブルネイ、マレーシア。ベトナムは11月中旬までに批准に必要な議会の承認を得る見通し。

[日本] 9月の鉱工業生産指数は前月比▲1.1%と、7月以来の減産となった。第3四半期をならしてみると、前期比▲1.6%の減産となり、マイナス成長に沈んだ第1四半期(同▲1.3%)を上回る減産となった。豪雨などの自然災害の影響が大きいものの、第3四半期の欧米の経済成長率が鈍化していることを踏まえると、景気動向の弱さも垣間見られる。年末にかけて、貿易戦争の悪影響が広がると想定されるため、景気動向の先行き不透明感はさらに強まっているようだ。

[ブラジル] 対外収支は底堅いが、財政赤字への迅速な対処が次期大統領の課題となろう。第3四半期の経常赤字は74億ドルでGDP比1%未満、対してブラジルへの海外直接投資は520億ドルで十分管理可能な水準。貿易収支は黒字、外貨準備高も輸入額20か月分相当かつ対外債務3,200億ドルを上回る3,800億ドルと潤沢。一方財政赤字はGDP比7.5%と比較的大きく、更に社会保障機関は2017年GDP比2.6%もの赤字を計上している。

[日/ロ] 10月30日、訪日中のトルトネフ副首相兼極東全権代表やロシア企業からなるビジネスミッションが、東京都内のホテルで日本政府・企業の代表者とのラウンドテーブルに参加した。日露両政府が極東地域で進める8項目の経済協力プランに関し進捗状況などを発表したほか、極東における木材加工や風力発電開発、医療や都市整備などの分野への日本企業による投資を呼び掛けた。

[デンマーク] 公安警察が、デンマークに逃亡しているイランの反政府組織ASMLAのメンバーに対する暗殺計画を阻止していたことを発表。デンマーク政府は、駐イラン・デンマーク大使の召還を発表している。ラスムセン首相は決して許される行為ではないとして、EUレベルでイランへの対応を協議するとコメント。

[日/韓] 10月30日、植民地時代の徴用工への賠償を巡る韓国での民事訴訟で、新日鉄住金に対して賠償を命じる判決が韓国最高裁で確定した。しかし、徴用工問題については、日本政府は勿論、韓国政府も日韓請求権協定で解決済みとの立場であり、今後は同協定の条項にある通り、外交ルートを通じた日韓両国間の協議に向かうと思われる。

[米国] 10月29日、パーデュー農務長官は、貿易摩擦によって損害を被った農家に対する支援策は2018年限りとなるとの認識を明らかにした。米国に対し各国が報復関税等の措置を講じたことを受け、7月にトランプ政権は120億ドルの農家支援策を発表、現在までに60億ドルの支援金を農家に支払っている。パーデュー長官は残額を活用した支援策については、12月までには公表する見込みとも述べた。

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