デイリー・アップデート

2020年4月9日 (木)

[中国] 4月7日、中国人民銀行(PBOC)が発表した3月末の外貨準備高は3兆606億3,300万ドル(月ベース輸入の約16カ月分)と前月末から460億8,500万ドル減少した。2カ月連続の減少。中国は新型コロナウイルス感染拡大が収束に向かっているとされ、経済活動が再開しつつある中、急激な元安にはならない見込みだが、世界経済の減速と中国から海外への資本逃避は、金融緩和の余地を縮小させる恐れがある。もし外貨準備高が3兆ドルを下回る水準まで減少し続ければ、資本流出を抑制する政策を実施する可能性もある。

[ドイツ] ドイツの5大経済研究所が公表した2020年の経済見通しによると、経済成長率は▲4.2%と大幅に低下しマイナス成長に転落する一方、失業率は5.9%と3月までの2倍弱にまで上昇する見込み。特に、労働市場と政府予算に影響が出るとの認識が示された。また、2021年の経済成長率は5.8%に回復する見通しとしたものの、下振れリスクが著しく大きいとした。

[ロシア] 4月8日、プーチン大統領は国民向けに再びテレビ演説し、新型コロナウイルスの感染者の治療にあたる医師らに追加手当が支払われることを明らかにした。医師への追加手当には連邦予算から100億ルーブル(およそ144億円)が供出される。その他、仕事を失った人については失業給付金の3カ月分が支払われることも明らかにした。

[EU] 4月7日に開始されたユーロ圏財相会合(Eurogroup)の欧州経済救済案が合意に至らず、9日も協議が継続されることになった。センテノEurogroup議長によれば「合意に近づいている」とされるが、オランダ政府がコロナ債返済における連帯責任や欧州安定化メカニズムの条件で強硬に反対。オランダ選出のティマーマンス欧州委員会副委員長も「オランダは利己主義的である」として同政府を批判している。

[韓国] 航空業界が厳しい情勢にある。本年3月に全国の空港から出入国した国際線の旅客は64.8万人で前年同月比▲91.5%と大幅に減少。4月8日、大韓航空は、組合と合意の上で、1.9万人いる従業員の7割に対し、4月16日から10月15日までの半年間、一時帰休を強制。帰休中は7割の給与が支給されるが、大部分は政府が支援する。アシアナ航空は、買収先の作業が遅れており、経営状況の更なる悪化が懸念されている。LLCの中には、債務超過に陥っている航空会社もあり、いつ不渡りが出てもおかしくないとみられている。

[イエメン] イエメン内戦に介入しているサウジ連合軍が、4月9日から2週間の停戦実施を一方的に発表した。連合軍広報官によると、イエメンでの新型コロナウイルス感染拡大阻止が目的とのこと。イエメン政府は国内の新型コロナ感染者数をいまだにゼロとしているが、紛争下で検査もままならない状態にあるためと考えられる。昨今の油価暴落により緊縮財政を迫られているサウジ政府は、支出削減のためイエメンにおける停戦に動くのではないかと考えられていた。

[米国] 4月8日、民主党のサンダース上院議員は大統領選からの撤退を表明。民主党内の予備選で大統領候補者指名を獲得できる見込みがなく、コロナウイルス感染が拡大する中で選挙戦の展開も大きく制限を受けていた。若年層の熱烈な支持を受け、党内左派票を固めていたサンダース候補だが、それゆえに党内全体に支持を広げることができなかった。予備選は6月まで続くが、今後はバイデン候補が自らの副大統領候補に誰を選ぶかが注目される。

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