デイリー・アップデート

2020年4月10日 (金)

[世界貿易] 4月8日、WTOは、2020年の世界のモノの貿易量が前年より13~32%減少する見込みと発表。サービス貿易は脆弱でさらに落ちると分析。楽観的なシナリオでは、世界の実質GDPと貿易量の成長率が、それぞれ2020年が前年比▲2.5%と▲12.9%、2021年が同+7.4%と+21.3%になると予測。リーマンショック時よりも悪影響が大きいと想定している。悲観的なシナリオでは、2020年の世界の実質GDP成長率は同▲8.8%、貿易量は同▲32%と予測。交通、旅行、小売は製造業より落ち込みが激しいが、ICT貿易(ICT関連のサービス貿易)はプラスになると見込んでいる。

[米国] 米労働省によると、4月4日までの1週間の新規失業保険申請件数は661万件となった。前週(687万件)に続き高水準が続く。ここ3週間で累計約1,680万件となり、失業率は15%を超える計算。リーマンショック直後の最悪期を上回る見通し。このため、米政権は2.2兆ドルの経済対策に盛り込まれた従業員給与補助などの中小企業支援の増額を検討している。

[EU] 4月9日のユーロ圏財務相会合は5,400億ユーロ規模の経済対策で合意した。ユーロ圏経済救済基金である欧州安定化メカニズム(ESM)により、ユーロ圏各国は2019年末のGDPの2%相当の予備的与信枠を申請することが可能となる。ユーロ圏の共同債であるコロナ債についてはEU首脳らが再度協議する予定。

[中/露] ロシアでの新型コロナ禍はモスクワを中心に激化、4月8日の24時間で1,459名の新規感染者が発生、累計感染者数は1万人を超えた。ロシア在住の一部の中国人は、モスクワ・黒竜江省間の国際線が運航停止のため、極東のウラジオストクから陸路で黒竜江省の綏芬河経由中国に避難して来ていたが、3月21日~4月8日の間に、この避難者の中から124名もの感染者が発見された。在露中国大使館は、4月8日、在露中国人に向けて、露中間の全ての陸路国境を封鎖したと通報、長距離旅行(モスクワ~ウラジオ間の飛行時間は9時間)は控え、自宅待機するよう要請した。

[中国] 習近平政権は「都市化の推進」を重点政策として掲げ、「国家新型城鎮(都市)化計画(2014-20年)」では都市戸籍常住人口比率を60%、都市戸籍人口比率を45%に引き上げ、「第13次5ヶ年計画(2016-20年)」では1億人に都市戸籍を与えるという目標を掲げている。計画の最終年度を迎え、国家発展改革委員会はあらためて、人口300万人以下の都市における戸籍制限の全面撤廃と、それ以上の規模の都市における都市戸籍取得制限の緩和を着実に実施していくよう督促する通知を発表した。

[イラク] 4月9日、大統領はムスタファ・カーゼミー氏(53)を首相に指名、30日以内の組閣を要請した。先月首相指名されたズルフィー氏は主要政党の支持を得られず、指名辞退を発表。カーゼミー氏はフセイン政権下でイラン・英国などに亡命。2003年に帰国後はジャーナリストとしてフセイン政権下での弾圧の実態などを究明、2016年に当時のアバディー首相の下でイラク諜報機関のトップに任命された。シーア派最高権威のシスターニー師や主要政党も同氏の首相指名を支持している。

[ロシア] 4月9日、ロシア政府は、新型コロナウイルスの感染者が累計で1万人を超えたと発表した。1日の発生数としては過去最多の1,459人が感染、新たに13人が死亡した。累計死者数は76人。プーチン大統領は、4月22日に予定していた憲法改正法案の是非を問う全国投票の延期を決定した。一方、今後感染者数の増加が続けば、5月9日に予定されている第二次世界大戦の戦勝記念式典についても規模縮小や延期とする可能性もある。

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