デイリー・アップデート

2020年4月17日 (金)

[米/中] 米国の対中強硬派の間で、新型コロナウイルスは武漢の研究所で発生したという説が広がり、対中非難が激化している。マクロン仏大統領やラーブ英外相も、米国の態度とは一線を画しつつも、中国の情報開示が不十分として不満を表明。一方、中国の習近平国家主席はプーチン露大統領と電話会談を行い、中ロ協力を確認するとともに、「この問題を政治的に利用すべきでない」(習)、「ある国は中国を悪者にしようとしている」(プーチン)として、名指しは避けつつも米国を非難した。

[フィリピン] 4月16日、中銀が緊急会合を開き、政策金利(翌日物借入金利(RRP))を0.5pt引き下げ2.75%にすることを決定した(17日から適用)。中銀は2月に0.25pt、3月に0.5pt利下げしたが、5月の次回定例会合を待たず、追加利下げに踏み切った。新型コロナウイルスの感染拡大と経済活動の制限による経済の悪化に鑑み、今後もさらなる利下げを行うと予想される。政府は人口の約半数に外出禁止を指示。2020年の経済成長は、楽観的なシナリオでもゼロ成長に留まると予測されている。

[米国] 労働省によると、4月11日までの週の新規失業保険申請件数は525万件と、前週(662万件)からやや減少したものの、歴史的高水準を維持した。ここ1か月の申請件数は累計2,203万件にのぼり、リーマンショック後の景気拡大局面で創出された雇用(累計約2,150万件)がほぼすべて失われた計算。これに基づくと、失業率は17%超と、過去最悪だった1982年12月(10.8%)を大幅に上回るとみられる。経済対策の中小企業向け従業員給与保証の資金が早くも枯渇するなど、雇用への影響は甚大となっている。

[ロシア] 4月16日、プーチン大統領は、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、モスクワで5月9日に予定していた対独戦勝75周年記念式典を延期すると発表した。ロシアメディアによると、新たな日程としては9月3日の第2次大戦終結の日が検討されているという。一方、モスクワ市における外出禁止措置は5月末まで延長される可能性がある。

[EU] 4月16日のG7首脳テレビ会議後、ミシェル大統領とフォンデアライエン委員長が新型コロナウイルス危機に対してG7が「既存の国際機関」と「多国間の枠組み」で協力することの重要性を強調。テドロスWHO事務局長と電話会談したボレル上級代表も「WHOに対するEUの強力な支持」を約束するなど、WHOに対する評価がトランプ米大統領と異なっていることを明確にした。

[中国] 4月17日、国家統計局が発表した2020年第1四半期の主な経済指標は、以下の通り(数値は全て前年同期比)。経済成長率:▲6.8%、鉱工業生産:▲8.4%、社会消費品小売総額:▲19.0%(内、ネット販売:+5.9%で小売総額の23.6%を占める)、固定資産投資:▲16.1%(内、インフラ投資:▲19.7%、設備投資:25.2%、不動産開発投資:▲7.7%)など。

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