デイリー・アップデート

2020年4月20日 (月)

[トルコ] トルコリラの対ドルレートが1ドル=6.9リラと過去最安値に近づく中、トルコの対外債務返済についての懸念が高まっている。新型コロナウイルスの影響で、トルコの最大の輸出相手である欧州の経済が停滞し、さらにインバウンド観光客からの観光収入も激減。トルコ政府は、厳しい条件を求められるIMFによる支援を望んでいないが、IMF支援が不可欠になる可能性もある。トルコの新型コロナウイルス感染者数は86,306人と中東地域で最大だったイランを追い抜き、死者数も2,017人となっている。

[米国] 4月19日、経済対策予算のさらなる増額をめぐり、政権と議会側が大枠合意に達したもよう。野党・民主党との協議を担ってきたムニューシン財務長官が合意概要を発表した。中小企業向け融資プログラムに3,000億ドル、小規模・零細企業には別途500億ドル規模の融資制度を設定、また病院経営を支えるために750億ドル、検査体制拡充に向けて250億ドルを充てる予定。議会は早ければ今週中の可決を目指すが、休会中であるため、採決方法をめぐる協議が決着していない。

[インドネシア] 4月19日、インドネシア中央統計局は、3月の貿易収支が7億4,340万ドルの黒字だったと発表。貿易黒字は2カ月連続。COVID19 の影響は、3月の貿易統計では限定的であった。輸出額は、前年同月比0.2%減の140億9,350万ドル、うち石油・ガスは41%減の6億7,390万ドルと大幅に縮小。輸入額は、前年同月比0.75%減の133億5,010万ドル。内訳として、対中国の非石油ガス輸出額は前月比5%増、同輸入額は50%増。3月の貿易黒字や輸出の強さが今後は継続せず、原材料供給のサプライチェーンが寸断されることから国内製造業の成長が脅かされるとの見方が多い。

[日本] 財務省「貿易統計」によると、3月の輸出は6兆3,579億円、前年同月比▲11.7%と16か月連続の減少。一方、輸入は6兆3,529億円、同▲2.5%と11か月連続の減少となった。自動車など欧米向け輸出が減少する一方で、医薬品輸入などは増加した。また。中国向けでは自動車や半導体等電子部品の輸出が増加した一方で、通信機の輸入が増えるなど、中国経済が再稼働し始めたことも読み取れる。

[タジキスタン] 4月17日、中央アジア・タジキスタンの上院は、エマモリ・ラフモン大統領(67)の長男、ロスタム・エマモリ氏(32)を新議長に選出した。同国憲法では大統領の辞職や職務不能の場合に上院議長が大統領職を代行すると規定しており、世襲への布石との観測が出ている。次の大統領選挙は2020年11月に予定されている。

[中国] 2020年1Qの経済指標が公表された4月17日、党中央政治局会議が開催され、目下の経済情勢の分析が行われ、当面の対応が決定された。同会議で強調された主な経済施策は、次の通り。◇内需拡大、公共消費も適宜増加 ◇有効投資の拡大 ◇民間投資の誘導 ◇企業の輸出を国内販売に転換 ◇中小企業の生存率を高める ◇サプライチェーンの安定性・競争力維持 ◇大卒の雇用を最重要事項とする ◇国民の基本的生活を守る ◇食料の安全保障 ◇環境汚染防止 ◇住宅市場の健全な発展など

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