デイリー・アップデート

2020年4月21日 (火)

[インド] 4月17日、商工省の産業・国内取引促進局(DPIIT)がFDIの規制を変更。これまではパキスタンとバングラデシュからの投資について政府の事前承認を義務付けていたが、その対象国を「隣国」に拡大した。これにより、中国、ネパール、ブータン、ミャンマーが含まれることになる。新型コロナウイルスの感染拡大により、国内企業が弱体化しているため、中国企業による買収が進むことが危惧されていたが、今回の規制変更には、そうした事態を阻止する狙いがあったとみられる。中国は、自国からの投資を狙い撃ちにしたものであるとして抗議している。

[イスラエル] ネタニヤフ首相と「青と白」のガンツ党首が、連立政権の権力分担で合意した。初めの18か月間はネタニヤフが首相職を継続し、ガンツ氏は副首相兼国防相となり、2021年10月にはガンツ氏が交代で首相になる。汚職疑惑で起訴されているネタニヤフが固執した司法任命委員会のメンバー構成や、もう一つの争点となっていたヨルダン川西岸の一部併合(今年7月開始)に関しても合意した。これを受けて、来週にも正式な連立政権組閣の手続きが行われる予定。

[日本] 日本銀行「主要銀行貸出動向アンケート調査」によると、企業向け資金需要判断DI(「増加」-「減少」の金融機関の回答割合)は4月に+14となり、前回1月調査(+2)から上昇した。「手許資金の積み増し」や「資金繰りの悪化」などが理由として多い。また、今後3か月間を対象にした企業向け貸出見通しDIは+46と大幅に上昇する。見通しのDIはリーマンショック後を上回っている。

[ロシア] 国内のエネルギー、マイニング、重工業関連の企業は従業員用の一時的な宿泊施設の建設やマスクの作成、また通勤用バスサービスなどを提供するなど、新型コロナウイルスへの対応を急いでいる。工場等の閉鎖により、サプライチェーン全体に問題を引き起こす可能性があることから、企業側が現状の操業を維持したい構えと思われる。

[EU] El Pais紙によると、4月23日のEU緊急首脳会合でスペイン政府が1.5兆ユーロの新型コロナウイルス復興基金創設を提案すると報道。EU予算に関する法的枠組みの中で発行可能な永久債をEUが起債し、調達した資金を加盟国に助成金として割り当るという内容。南欧9か国が提唱している「コロナ債」発行と欧州委員会が提唱しているEU予算内における基金の中間のような案となる。

[中国] 4月19日、中国は周辺諸国との間で領土問題を抱える南シナ海の海南省南沙市において、「西沙区」と「南沙区」という新たな行政区を設置すると発表した。西沙(パラセル)諸島の永興(ウッディー)島に「西沙区」政府を、南沙(スプラトリー)諸島の永暑(ファイアリークロス)礁に「南沙区」政府を設置する。中国は、南シナ海での実効支配強化を着実に進めており、最近も中国海警局の船がベトナム漁船を沈没させ、ベトナム政府が抗議していた。今年はベトナムがASEAN議長国であり、南シナ海における紛争予防のための行動規範(COC)策定が紛糾することが予想される。

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