デイリー・アップデート

2020年4月1日 (水)

[日本] 日本銀行「短観」(3月調査)によると、大企業製造業の業況判断DI(「良い」-「悪い」)は▲8と、前回12月調査から8pt低下した。先行きについては▲11と更なる悪化が見込まれている。非製造業は+8と、前回から12pt低下、先行きは▲1となる見通し。国内外の需給バランスが悪化、仕入価格上昇の一方で販売価格を引き上げられない状況が続く。一方で、設備や雇用の過剰/不足感は前回調査から横ばい圏にあるものの、今後の悪化が懸念される。

[EU/イラン] 3月31日、E3(英・独・仏)がINSTEX(貿易取引支援機関)を利用して医療物資をイランに輸出したことを発表。INSTEXは2019年1月に設立されたEU企業がイランと取引する際にユーロ建て決済が可能となるSPV(特別目的事業体)。当初は同年夏ごろの稼働を目指していたが、今回が初取引となった。

[中国] ◇国家衛生・健康委員会は、3月31日、毎日公表している新型コロナウイルスの感染状況の中に、4月1日からは無症状の感染者に関する報告を加えると発表。当該感染者を統計から除外していたこれまでの手法を改める。◇教育部は、2020年6月に予定していた大学入試センター試験を1か月延期し、7月7~8日に実施すると発表。◇国務院常務会議は、中小零細企業向けの金融支援強化策、生活困窮者への補助金増額、NEV(新エネルギー車)販売促進策、旧排ガス規制車の買換え促進策などを決議した。

[アジア] 3月30日、世界銀行が「東アジア太平洋経済の見通し」の2020年4月版を発表した。新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、東アジア太平洋地域の2020年の実質GDP成長率はベースシナリオでは+2.1%、悲観シナリオでは▲0.5%(ASEANはベース+1.3%、悲観▲2.8%)に落ち込むとしている。国別の悲観シナリオでは、中国+0.1%、インドネシア▲3.5%、タイ▲5%、マレーシア▲4.6%、フィリピン▲0.5%、ベトナム+1.5%、ミャンマー+2%、カンボジア+1%、ラオス+2.2%と予想している。

[イラン] 米政府は、イランとの核関連での協力を行う他国の企業に対する制裁に関して、猶予を与えるウェイバーを60日間延長した。現在、2015年のイラン核合意(JCPOA)に沿って、欧州やロシア、中国などの企業がイランに対する核関連での協力を行っており、ウェイバーの延長はこの活動の継続を許可するもの。ポンペオ国務長官はウェイバー延長に反対の立場だったが、ムニューシン財務長官が説得したと伝えられている。

[中国] 3月30日、世界銀行は、新型コロナウイルスに伴う景気悪化で、中国の実質GDP成長率が基礎シナリオで2020年は+2.3%になると予測、ウイルス感染が深刻化する前の1月時点の予測の+5.9%より大幅に下方修正した。もしそうなれば▲1.6%だった1976年以来44年ぶりの低水準となる。悲観的なシナリオでは、中国が+0.1%とかろうじてプラス、中国以外が▲2.8%、またASEANも▲2.8%で、ソロモン諸島とフィジーでは▲10%を超えるマイナス成長になる見通し。

[ロシア] 景気後退を背景に、国民生活関連の指標悪化が目立っている。ある世論調査によると、貯蓄ゼロの国民が63.6%を占め、また貯蓄のある人も万一急に収入を失った場合、平均半年で貯金が尽きると答えていることが分かった。同調査対象者の5割以上が平均月収入2万5千ルーブル(約3万5千円)以下で生活しており、また2割以上はルーブル建てでタンス預金をしていることも分かった。

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