デイリー・アップデート

2018年8月23日 (木)

[欧州] イタリアのMorandi橋崩落に端を発し、欧州でのインフラメンテナンス問題が注目を集めている。2018年のフランスとドイツでの監査結果によると、フランスの国有道路橋の7%が「非常に悪い状態」、ドイツの国有道路橋の12.4%が「悪い状態」と診断されており、インフラメンテナンスの向上は喫緊の課題となっている。イタリア、フランス、スペイン、スウェーデンの各政府は2018/2019年からインフラ関連予算を増額する予定であり、他の欧州諸国もこれに追随するものとみられる。

[サウジアラビア] ロイターは、サウジ国営石油会社Saudi Aramcoが国内・海外市場でのIPO計画中止を決定したと報道。IPOのためのFinancial Advisorのチームも解散したという。IPOの計画中止は、Saudi Aramcoによる国営石化会社「SABIC」株の過半数取得に注力するためだという。これを受けて、サウジのファリハ・エネルギー大臣は「政府は引き続きIPOにコミットしている」とロイター報道を否定。

[ジンバブエ] 7月30日に行われた大統領選で現職ムナンガグワ大統領が勝利したことに対し、選挙管理委員会による票の不正集計疑惑を野党「民主改革(MDC)」議長のチャミサ氏が憲法裁判所に訴え、裁判が開始されていたが、憲法裁判所は8月24日午後2時(現地時間)に判断を発表すると決定。なお、8月12日に予定されていたムナンガグワ氏の就任は延期されている。

[サウジアラビア] サウジ検察が、反政府デモを扇動した女性活動家に死刑を求刑したことに対し、カナダの外相が再度サウジ政府を批判する声明を発表。サウジとカナダの関係は、今月初めに同外相がサウジで逮捕された女性人権活動家の即時釈放を求めたことで悪化。サウジ政府は、駐サウジ・カナダ大使を国外追放しカナダとの貿易・投資の停止を発表するなど、2国間関係は急激に冷え込んでいる。

[フィリピン] 8月17日、ドゥテルテ大統領は労働安全衛生基準のコンプライアンス(法令順守)強化に関する法律である共和国法第11058号(OSHS法)に署名したが、不明瞭な条文があるため労使双方から同法に関する懸念が表明されている。同法は、新聞などでの公告から15日後に発効し、その後90日以内に施行細則(IRR)が発布される予定。

[米国] 8月22日に公表されたFOMC議事要旨(7/31-8/1会合)によると、9月利上げは濃厚。貿易摩擦を巡って、物価上昇による個人消費減速や、設備投資の鈍化などへの懸念が示された。また、フォワードガイダンスやバランスシート政策などの緩和効果を認める一方、実効下限制約(ELB)の下での代替的な政策を今後議論する見通し。政策金利が中立金利に近づきつつあることを見据えて、FRBは次の一手を議論していると明らかにできる段階になっている。

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