デイリー・アップデート

2018年8月30日 (木)

[トルコ] 対米関係の悪化から通貨リラの対ドルレートが年初来で4割下落しているが、JPモルガン銀行によると、トルコには年末までに満期を迎える対外債務が320億ドル、今後1年間では1790億ドルに上るという。そのうち1460億ドルが、銀行を中心とする民間セクターによる債務。企業は十分な対外資産を保有していると想定されるが、対ドルレートの急激な悪化で債務の返済に苦しむ企業も出てくるものと考えられている。

[米国] 商務省は2018年第2四半期のGDP成長率を改定し、速報段階の前期比年率4.1%から4.2%へ上方修正した。非居住用固定資本投資などの上方修正が、個人消費の下方修正によって相殺された。景気の見方は変わっておらず、基調として経済は堅調であるものの、一時的な要因によって押し上げられた部分は、第3四半期以降に剥落する見通し。また、足元の消費は堅調だが、貿易戦争への懸念が残る。

[環境] EUの排出権取引制度の排出枠価格が20ユーロ/トンと2008年以来となる20ユーロ超を記録。年初からほぼ3倍。今夏欧州を襲った熱波と、EUによる排出権取引制度の改革が功を奏したことが背景。熱波で原子力発電や水力発電の停止・低稼働が相次いだ結果、石炭やガスなどCO2排出量の多い火力発電需要が高まり、排出権の購入増につながった。

[ロシア] 8月29日、プーチン大統領は、政府が打ち出していた年金改革案の一部修正を発表した。女性の受給開始年齢の引き上げ幅を緩和し、女性は現行の55歳から60歳(当初案は63歳)にすると提案した。

[英国/南アフリカ] 南ア、ケニア、ナイジェリアを訪問中のメイ首相が、ケープタウンで開催された「南ア-英国ビジネス・フォーラム」に参加。ラマポーザ大統領が推進する土地改革に関し、合法で透明性のある改革であれば支持すると発言。EUと南アが加盟している南部アフリカ開発共同体(SADC)との間には「貿易・開発および協力協定」が2016年に発効しているが、EU離脱後、英国は南アとの間で個別に通商協定を交渉・締結する必要がある。

[中国] 今年の高温・多雨、水害などの自然災害、油価の上昇の影響を受け、野菜の価格が例年の季節要因を上回るペースで上昇しており、卵・豚肉などの価格も高騰している。今後は、人民元安・米中貿易戦争・金融緩和の影響から、さらにインフレ圧力が高まると識者は見ている。

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